
着物の営業・販売をしています。
この道15年、お客様とともに着物の輪を広げてきました。
このブログでは、私の経験や着物の知識を用いたあれこれを綴っています。
『着物を売る』、このことは僕にとってライフワークです。
着物の販売で、最初に思い浮かぶことはなんですか?
それは『ニーズの販売』です。
冠婚葬祭とか、成人式とか、そういう『式事』で着物を着る人への販売ですよね。
着物のTPOの話を以下のリンクにまとめています。参考にしてみて下さい。
この『ニーズの販売』はどんどん減ってきています。
何故か?
→振袖はこの影響をもろに受けています
②式事の多様化
→当たり前が変化し自由になっている
③レンタル等のサービスの充実
→衣装としての着物
こんな要素があり、着物をニーズとして買う人は少なくなっているんですよね。
なので、着物の販売は難しくなっています。
ニーズとして着る機会を失いつつある着物、でもこういう特徴は残されています。
→特に、絹物でお仕立てがいるとなると簡単に買えるものではない
②日常で着るものではない
→着る機会がない
③お客様に着物のスキルを持っている人が少ない
→自分で着れない
この特徴だけ見ると、着物というのは『高くて使用できない着物』であると言えます。
これだけ見ると着物は『いらない』ものに分類されるのですが、お客様が持っている印象は違います。
着物に『憧れ』を持っている人が多いんですよね。
ただ、この『憧れ』は形があるものではありません。
この『憧れ』を引き出して、販売をしていくのは簡単ではありません。
その『憧れ』を引き出して販売するための、重要な要素があります。

情報が命なんです。
商売をやる上で、『情報』は絶対に大事です。
マーケティングというのは、市場の情報を分析して『最適な仮説』を立てることです。
着物の販売も、そんな全体的な情報も重要なんですが、僕たちは、個人のお客様に着物をおススメします。
それには個々の細かな情報が必要不可欠なんですよね。
この情報の収集が、着物の販売決定の重要要素となります。
では、どんな情報をどういう風に取得すればいいのか。
お話ししていきます。
目次
着物に対する意識の情報
着物には『2:8:2の論理』というものがあります。
最初の2は『着物を着ている人』です。
いわゆるプロと呼ばれる、お仕事やお稽古などで日常的に着物を着ている人ですね。
こういう人は、すでにどこかの着物屋さんに出入りしていると考えられます。
最後の2は『絶対に着物を着ない(着たくない)人』です。
この人達は、着物に対して全くの興味がありません。
何をどう提案しても、着物は売れない人たちですよね。
真ん中の8は『着物には興味はあるけど、着ていない人』です。
先ほど言った『憧れ』を抱いている人ですよね。
着物の商売をしていくには、このゾーンのお客様を開拓していくことが重要です。
この真ん中の8の人たちが、現状持っている『着物への意識』という情報はとても重要なんですよね。
試着の重要性
お客様から情報を得る為には、どうすればいいのか。
答えは簡単で『聞く』です。
お客様から出た言葉がその答えなんですが、それが本音でないと意味がないですよね。
お客様の本音を得るには『聞く』タイミングがポイントです。
そのタイミングをつくるのが、着物を『試着』(=体験)することです。
着物は服の上からでも、着てみること(着たように見えるようにすること)ができます。
その体験を通したうえで、『聞く』と本音に近い言葉が聞けるんですよね。
『体験中』という買う気のない状態で、尋ねるように聞いた答えが、その人の『情報』なんですね。
ではどんな情報が、有効となるのか?
必要性の情報【フォーマルかカジュアルか】
お客様の着物の趣向は多岐に渡ります。
その中でフォーマルよりの人か、カジュアルよりの人かを見極めるのは大事です。
『普段から着たいのか』
この情報です。
試着(=体験)を通して、聞いていきます。
やり方としては、着物のコーディネートです。
着物はコーディネートで、フォーマル・カジュアルを分けることができます。
実際その着姿を見せながら聞いていくと、その人の思いが聞けるんですよね。
その人の、着物の『着用イメージ』という情報がゲットできます。
価格意識の情報
着物に対しての価格の意識のあるなし(というより価値観)は重要です。
それによって、おススメするものが変わってきますよね。
足元を見ていると言われてしまいそうですが、商売の現実とはそういうものです。
これも試着(=体験)を通した『聞く』タイミングが重要です。
着物を一式コーディネートして、お客様に「着物ってやっぱり素敵だな」という想いにさせてから聞かないといけません。
技術的な事ですが、こうでないと『本音』は聞き取れないんですよね。
その『憧れを抱いているが買う気のない状態』で、尋ねるように聞くんです。
「これって全部でいくらすると思いますか?」と。
ここで出てくる言葉が、お客様の『本音』に近い言葉なんですよね。
これでお客様の『着物に対する価格意識』の情報をゲットできます。
私さとしが考える『着物の価格の相場』は下記のリンクです。
買い方の情報
この部分はすごく大事です。
人にはそれぞれ、モノの買い方があります。
衝動買いをしてしまう人、慎重に選ぶ人、色々ですよね。
特に、着物は高額かつ『必要のないもの』です。
『買うということの決断の仕方』を知ることは重要です。
これを知らないと、商売は押し問答にしかなりません。
例えば、『一人では決めれないという人』に、「そんなことない」と言って説得してる押し問答ですよね。
これを知るためには『IFトーク』です。
『もし』買うなら、という質問で本音を探っていくんですよね。
価格を明確にしたうえで、この話をしていくとお客様の『本音』に大きく近づくことができます。
お客様の『買い方の情報』は、これでゲットできます。
資金力の情報
これも人の足元を見るような話なのですが、商売をしていく為には重要な情報ですよね。
日本人の個人金融資産は約1800兆円です。
兆ですよ、『兆』。
兆は億の1万倍、1800兆はさらに1800倍です。
すごい金額を、個人が持っているんですね。
日本人はお金持ちです。
ですが、日本人は自分を金持ちだとは言いません。
ただ、大多数の人がそうだと思いますが、『お金』の話って関心がありますよね。
お金の話で盛り上がる
この特性を利用してお金の話題でもりあがると、その人の資金力が見えてきます。
以下のような話がいいかも知れません。
②これまでのお仕事の経緯
③株の話
④経済の話
特に『守りのお金の話』に関心を示す人は、お金持ちである傾向にあります。
自分のお金を守るために、勉強している人ですよね。
貯蓄とか、資産運用とかの話ですよね。
特に、お金持ちの人はそうなるまでに、色んな苦労をしてきている人が大半です。
その苦労って、人に聞いてもらいたかったりします。
コミニケーションを取るにも、『お金の話』って使いやすいんですよね。
お金のことをズバリ聞ける人は『強い販売員』※注意
ちなみに僕は、親しくなったお客様にはズバリ、「どのくらい貯金がありますか?」と聞きます。
これには、相当の胆力とコミニケーション能力がいりますが、でもこれくらい『ぶっちゃけ話』ができると、商売は早く進みますよね。
時間は大切です。
誤解のないようにお願いしたいのですが、それを知ったからといって「根こそぎ売ろう」なんては思いません。
そういう情報を加味して、お客様にとって『最適な』提案をする為なんですよね。
好みの把握
着物を提案していくにあたって、その人の『好み』を知ることは大切ですよね。
これにはまず軸を持つことが大切です。
『柄』と『色』です。
横軸は『柄の雰囲気』です。
この2つの軸で、お客様の好みを探っていきます。
当然これも、試着(=体験)を通してです。
縦軸は『色の雰囲気』です。
色は『好き嫌い』もありますが、顔映りが最も重要です。
着物は着るものなので、その人の雰囲気に合わないとダメなんですよね。
少し難しいですが、これが『着物を選ぶ楽しみ』でもあるんですよね。
好みの軸ができたら
以上の2軸で、お客様の基本的な好みはわかりますよね。
モダンな濃い色が好みとか。
古典で淡い色が好みとかです。
この情報は、着物をコーディネートする為の重要ですよね。
応用として『好みの軸』をずらして提案することで、その幅は広がりますよね。
提案の幅が広がると、販売力は確実に向上します。
まとめ
モノを販売するということは、やっぱり難しい事なんです。
でも、『買う』という行為は、人間の大いなる楽しみでもありますよね。
その楽しみを増やすために、販売のスキルを上げることは大事で、その為の情報取得は重要というお話です。
これは、着物だけの話ではありませんよね。
どんな販売にも通ずることだと、思います。
では、よき『きもの』ライフを(^^)y
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