着物は売れるのか?【着物を着る人の変化と業界の変化を考える】

着物
さとし
さとし
こんにちは。
私、さとしです。
着物の店舗の店長をしています。
着物屋の店長の仕事は、販売・営業はもとより、店舗の管理、教育、企画と多岐にわたります。
このブログは、そんな僕の経験と知識を記事にしています。
よろしくお願いします。
店長、着物って本当に売れるんですか?
社員
社員

 

着物の商売をしていると、よくこういう風に聞かれます。

さとし
さとし
着物は実際に消費者の関心も高いし、売れているよ。

ただ、外から見たら『どういう風に成り立っている業界』なのか、よくわからない印象だと思います。

かくゆう僕も最初はよくわかりませんでした。

 

だから『売れるのか?』という疑問に対する説明は難しいんです。

なぜなら、着物は『必要性で買うもの』ではないからです。

さとし
さとし
着物が『必要性で売れるもの』だったら、説明は簡単なんですよね。
なぜなら、『何をいつ売ればいいのか』それだけの説明でいいんです。
『着物は売れる』、それは間違いありあません。
ただ、お客様の『買い方』には変化があるんです。
その変化を理解することで『なぜ売れるのか』がわかるはずです。

 

そんな不思議な着物の需要について、今回は探っていきます。

着物の不安【着物3大ネックを考える】

テレビで見る着物はすでに『お得意様』が決まっている

テレビを見ていると、着物を着ている人を見かけます。

①演歌歌手
②歌舞伎役者
③相撲取り
④落語家
などなど…

こういった人たちの着物姿はよく見ますが、これはいわゆる『衣装』ですよね。

さとし
さとし
衣装ということは、自分で揃えているわけでなく、誰かから与えてもらっていることが多いですよね。

 

紅白歌合戦なんかで見る着物も、かなりいい着物ではありますが、それはスポンサーなり事務所が用意している衣装です。

 

それを準備するのは、その業界のお抱え(古い付き合い)であるところが多いと思います。

着物の問屋とか、メーカーでも『〇〇に衣装を提供した』ということを、売り文句にしているところが山のようにあります。

衣装を提供するという事は『宣伝という目的がある』、これば言わずもがなですよね。

 

一般的な着物の小売店では、そういう注文が舞い込んでくることは、めったにありません。

圧倒的に少ない男性着物

着物業界における、ターゲットは『女性』です。

ある時、気づくんですが…

さとし
さとし
着物の種類は『男性もの』より『女性もの』のほうが圧倒的に多いんです。

『種類』がです。

 

これには歴史があります。

明治維新後、男性のほうが『洋装化』が早くすすみます。

『外に出て働く機会の多い男性』は西洋化の流れで、社交着が洋服になることが多いんです。

 

古い写真でよく見ませんか?

きもの姿の女性の横に立つ、軍服やモーニング姿の男性を。

 

今の結婚式もそうで、お父さんは燕尾服(モーニングです)で、お母さんは着物ですよね。

ということで、着物は女性のほうが圧倒的に種類が多く、TPOに対応してるんです。

 

そんな女性の着物の種類は下記にまとめています。

着物の種類【それぞれの種類ごとに解説しました】

女性の着物の『人生マニュアル』

この疑問に気づいて調べると、『業界の力』も発見できます。

着物業界も西洋化が進むと、男性着物をなかばあきらめ、女性にターゲットを絞るようになります。

 

だから、今ある着物の種類は、明治時代以降に出てきたものがたくさんあります。

 

さとし
さとし
ピンときましたか?そうなんです。
着物業界が『着物の新たな種類』をつくってるんですね。

『必要性』の創造です。

 

これは不自然でもなくて洋服でもそうです。

ビジネスカジュアル(略してビジカジ)なんてそうですよね。

あんな格好で仕事をしたら、僕が新入社員のころなら鉄拳制裁でした。(笑)

 

これも、時代にあわせて(クールビズとか言い出した頃)、洋服屋さんがそういう種類をつくりだすんですよね。

女性着物の一生

女性着物は一生を通しての『そろえる』マニュアルが存在します

①生まれた時に着る着物
②七五三で着る着物
③十三参りで着る着物
④成人式で着る着物
⑤結婚前にそろえる着物
⑥子供が出来たら着る着物
⑦年を重ねるごとに変わっていく着物
⑧死を迎える時の着物

などなど、いっぱいあります。

着物業界はそれらのTPOにあわせて、しっかり『恥ずかしくない』ように着物を開発してるんですね。

さとし
さとし
この『恥ずかしくない』というのは重要なキーワードで、これを打ち出すことで着物の販売ができます。

『節目はちゃんとしたい』、女性は特にその思いが強いですよね。

たしかに、そういわれると着物を揃えないといけない気になる…
お客様
お客様

それを利用して、『ある種の脅迫観念』で、着物を提案し買ってもらうことができます。

 

そうしていくうちに、どんどん悪い流れになっていくのです…

そして着物離れへ

必要性の着物が増え続けていくなかで一つの悪しき言葉が誕生しました…

さとし
さとし
『たんすの肥やし』です。
そんなに着なかった、節目の着物
もってはいるが数回しか着ていない(0回も多数)着物
でもなんか高そうだから、処分するにも困る着物

こんなことがあいまって、着物に対する憎悪が生まれます。

 

着物屋さんって、商品の使用(着用)には目を向けてこなかったのかもしれません。

なので現場では、下記のリンクにあるようなことがよくあります。

過剰になってる着物屋への先入観【ちょっと待ってよその思い】

 

でも、もとは誰もが自分で着れたものなので、『商品の使用』を考える必要はなかったのでしょう。

 

そうして、確実に着物離れが進んでいきます。

 

洋服のほうが簡単に着れて、価格帯も豊富でおしゃれで自己表現できる。

そうですよね、まったく否定しません。

 

でもそんな中で『着物に新しい光』が差し込んでいるのも、また事実です。

これからの着物

着物の市場は30年ずっと下がり続けていました。

でも近年、下げ止まりしたんです。

 

これは、必要性としての着物が、よみがえったわけではありません。

さとし
さとし
『必要性でなくてはならない着物』から『個性を楽しむファッションとしての着物』に変化してるんです。

そこにはこんな思いがあるんです。

①自分らしさを表現してみたい
②非日常を味わってみたい
③日本人としてのアイデンティティーを着物で感じたい

もっとありますが、ここに『仲間』とか『楽しみ』とか『優越感』とかが加わって、着物はどんどん進化しているように思います。

 

これから着物を着る人は、もっと増えると思います。

 

そんな中で、着物を始めて揃えようと思う人に読んで欲しい記事はコチラです。

着物の価格の相場【初めて着物の購入を考えるあなたへ】

 

従来の販売の仕方では、着物は絶対に売れなくなるとも思います。

業界の常識より、消費者の理想のほうが前を走っています。

 

だから着物の業界は面白い、新しい感性で『新しいルール』をつくれるからです。

人が『自分らしさ』を求める気持ちは、絶対になくならないんですよね。

 

冒頭の答えを再度…

さとし
さとし
着物は売れるんです!

 

そんな、お客様と業界の変化に合わせて、着物はもっと自由に楽しく、着れるようになってきています。

着物を本当に楽しみたい人にとっては、いい時代に突入してるはずです。

 

そして着物をもっと自由に、自分らしく楽しんでもらえると嬉しく思います。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y