着物って着ている人をそこまで見かけないし、着物を買っている人の話も聞かない、はたから見たら『着物の業界』ってどうやって成り立っているのかわからないんですよね。
ただ結論としては『着物は売れるところでは売れている』です。
今回はその着物の販売の裏側に迫っていこうと思います。
内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…
・着物の営業・販売18年
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は独立し、着物の制作にたずさわっています
この記事は以下の2点で話を進めていきます。
●今、着物が売れている人達って?
この記事を読むことで、着物の業界の変化とどういう人が着物を売ることができて、お客様の支持を集めることができるのかがわかります。
目次
着物の販売の裏側にせまる【限界を迎える必要性】
成人式の振袖は着物の業界を背負っているようなイメージが強く、実際に振袖に力を入れている着物の会社も多くあります。
しかし私は、この10年くらいほとんど振袖を扱ったことはありません。
限界を迎えつつある必要性の着物
振袖は成人式に着るという『必要性がある着物』であると言えます。
なので成人式がある限りは確実にニーズは存在しますし、成人式に振袖を着るという文化も生き残っていくはずです。
ただその市場は、減少の一途であると言わざるを得ません。
さらに振袖を購入するという選択肢も、『レンタル』や『ママ振(親や親戚からのおゆずり)』によってどんどん狭くなっていってるのです。
そうやって少なくなっているパイを取り合っているというのが、着物の業界の振袖事情なんですよね。
この世界の着物においては『売れなくなっている』というのが間違いのない事実になります。
女性着物の一生と必要性の着物の販売
振袖と同様に女性着物には一生を通しての『そろえる』マニュアルが存在します。
②七五三で着る着物
③十三参りで着る着物
④成人式で着る着物
⑤結婚前にそろえる着物
⑥子供が出来たら着る着物
⑦年を重ねるごとに変わっていく着物
⑧死を迎える時の着物
こういった必要性の着物の販売では『知識』と『権力』が重要になります。
必要性のものは『間違うことができない』ので、間違いのない情報と多数派が好まれるんですよね。
このことは結局、『着物の敷居の高さ』を生み出します。
そのことがさらに『着物離れを進めている』という、皮肉を生み出しているんですよね。
着物の意味を変化させることで着物は売れる
そうして着物の市場はこの30年、ずっと下がり続けていました。
これは、『必要性の着物』が甦ったわけではありません。
『必要性でなくてはならない着物』から『個性を楽しむファッションとしての着物』に変化してるんです。
こういう思いって着物の現場ではよく聞かれる言葉なんですよね。
着物が売れる人達とは?
そういった人達がどういうことをしているのかというと…
●着物を着るためのサポートに注力している
●敷居の高い空間ではなく、気軽で楽しい空間を提供している
売れる着物屋さんのイメージは、これからもっとカジュアルに気軽になっていきます。
そういった人でないとお客様を多く集めることはできませんし、お客様の希望には届かないんですよね。
まとめ
着物は『売れるところでは売れている』という意味がわかっていただけたでしょうか?
着物というモノだけでは、売ることはできないんです。
着物と+@の価値を生み出すことで、着物はいくらでも売れますしお客様の支持を集めることができるんです。
その価値とは『着物が好きで着物を楽しみたい』というものです。
お客様はそう思っているし、着物を売る側の人もそう思い研究をすることが大切であるんですよね。
では、よき『きもの』ライフを(^^)y