よく物議を醸す『着物と浴衣の違い』なのですが、これは間違っています。
『浴衣は着物の一種』なんです。
例えば、着物の種類である『振袖』と『浴衣』なら、種類が違うので明確にその違いを説明することができます。
しかし、『着物と浴衣の違い』となると、明確に違いを説明することができません。
ただ、これで話を終えてしまうと疑問の解消にはならないので、『浴衣』とは一体どういうものなのかという話を進めていくことで、わかりやすくしていこうと思います。
その前に少し自己紹介…
●着物の営業・販売歴16年
●着物の店舗運営11年(店長歴)
●現在は独立して着物の制作にたずさわっています
この記事では以下の手順で、話を進めていきます。
②浴衣の特徴
③変化する浴衣
男性の『着物好き』を心から応援するものです。
読み進めて『きもの街道』を突き進みましょう!
目次
今さら聞けない着物と浴衣の違い『男性着物編』
まずは浴衣のことを詳しく知ることで、浴衣とは着物の中でどういう存在なのかをみていきましょう。
【ざっくり解説】浴衣の起源と歴史
はるか昔、高貴な人の生活は今の我々の感覚でいくと非常に不自由なものでした。
周りにお付きの人がいる中で『入浴』していたんですよね。
その上で、肌を晒すわけにはいかないなどの理由から、湯帷子(ゆかたびら)というものを着た上で入浴していたんです。
これが浴衣の起源です。
『浴びる』『衣』です。
そうして浴衣は湯上がり着の地位を確立していきます。
なので、旅館などではお風呂上りに浴衣を着ますよね。
年中、お風呂に入った後は浴衣を着るように用意されています。
なので浴衣を『夏用』というのは、間違っているということになります。
ただ湯上がり着である浴衣は、当然薄手の生地になります。
さらに湯上がりに着るので『夜』のイメージがありますよね。
そうして、浴衣は夏の夜に着るものとして広く認知されていくし、その用途が定着していくんですよね。
浴衣の特徴【素材・着方・他】
では浴衣にはどんな特徴があるのか、考えていきます。
浴衣の素材
浴衣の素材は『綿』が一般的です。
涼しさを求めて『麻』素材のものもありますし、麻のシワになりやすさを回避するために『綿麻混合』のものもあります。
ちなみに、それらの素材で作られている浴衣以外の着物も多数存在します。
浴衣の着方
浴衣の着方の特徴として、下に襦袢を着ないというものがあります。
これによって見た目に違いが出ます
この着姿の衿元の白の部分が襦袢の衿の部分です
これは浴衣、襦袢の衿がないですよね。
この見た目にも違う『襦袢のあるなし』が浴衣の見分け方にもなったりします。
湯上がり着である浴衣では襦袢を着る必要がなく、機能的にも襦袢がないほうが楽なんですよね。
しかし、後述もしますが浴衣に衿をつけて(もしくは襦袢を着て)、浴衣を着物風に着る着方が流行しています。
そんなことができるのも、浴衣が着物の一種だからですよね。
その他にも
浴衣を着る時は『裸足(はだし)』という特徴があると言われたりもしますが、浴衣以外の全てが裸足で着ないわけではありません。
浴衣に合わせる小物が夏仕様と言っても、夏に着物を着る時はなんでも夏仕様にするものです。
変わりゆく浴衣【常識を打ち破る】
浴衣の本来持っていた用途からは果てしなく変化しているのです。
昼に進出した浴衣
一番の変化はこれですね。
『湯上がり着(いうならパジャマ)』だった浴衣が、昼のお出かけ着になっているのです。
浴衣を昼のお出かけ着にする為には、いくつかの条件があります。
まずは衿をつけることです。
その為に、襦袢を着たり見せかけ(伊達)の衿をつけたりします。
次に足袋を履くことです。
通常の足袋を履いたりもしますし、透け感があるような足袋も人気があります。
こうすることで浴衣は『お出かけ着』となるとされています。
成人式での浴衣
豪雪地方では、交通事情やその地域から人が離れているなどを鑑み、夏に成人式を行う所があります。
成人式といえば『振袖』を思い浮かべますが、真夏に振袖を着るのは非常に暑いので、代わりに浴衣を着る人がいたりします。
着物の本来のTPOを言うと…
振袖=未婚の女性の第一礼装
浴衣=湯上がり着
です。
冒頭で『振袖』と『浴衣』の違いは説明できると言いました。
説明できるのですが、このような状況の説明は非常に難しいんですよね。
ただ、この流れがダメだとは思いません。
まとめ
ということで、『着物と浴衣の違い』について話をしてきました。
結論としては…
●浴衣は本来の用途から劇的に変化している
というところです。
これは男性の浴衣でも一緒なんですよね。
夏に着るのが浴衣っていうイメージなんですけど、具体的な違いや見分け方もわからないんです…