着物における男女の違い『3つ』

男性着物
さとし
さとし
私、さとし。
・着物の販売・営業を16年
・着物店舗運営11年(店長歴)
・現在は着物の制作にたずさわっています。

僕は『着物を販売している男子』です。

商売にしているので、それなりに着物は持っています。

お客様から、よくこんな事を聞かれます。

女性の着物と男性の着物ってどういう違いがあるんですか?
お客様
お客様

いろんな違いがあるのですが、明確に答えるのはなかなか難しいですよね。

今回はそんな疑問にお答えすべく、『着物における男女の違い』をまとめてみました。

この記事では以下の『3つ』をお話しします。

この内容で『着物の歴史(近代史)』もわかるはずです。

①種類の数は圧倒的に男性着物が少ない
着やすいのは男性着物
着こなしの違い必要な物の数の違い
さとし
さとし
こういう違いを知る事で、もっと着物を楽しめるとも思います。
着物の知識の発見にお役立てください。

着物における男女の違い【種類の数が違う】

着物における男女の違い【種類の数が違う】

まずは『男女の着物における種類の数』です。

さとし
さとし
結論としては圧倒的に男性着物のほうが少ないという事です。

フォーマルの女性の着物の場合…

・黒紋付(喪服)
・留袖
・振袖
・訪問着
・付下
・色無地

このくらいの種類がありますが、男性の場合は基本的に『無地』しかありません。

後は、『色』『羽織・袴』『紋』というような要素で、格の上げ下げをします。

その辺りを歴史的な背景を交えながら、解説していきます。

男性着物の近現代史

明治維新後、日本は西洋の文化を取り入れた近代化が始まります。

生活様式が、どんどん西洋化していくんですよね。

『衣類』にも同様の変化が起こります。

特に男性の場合は、社会に出ることが多かったので『洋装』の機会が多くなります。

当然、女性にも洋服の波は押し寄せますが、男性のそれに比べると弱かったんですよね。

 

戦争期には、男性は『国民服』と呼ばれる洋服を着用するようになります。

対する女性は、準和装に『もんぺ』です。

着物はその形状からして、『走る』のに不便です。

戦争などの非常時には『動きやすさ』が重要視されたんですね。

 

戦後、戦中は贅沢とされて着ていなかった着物が女性の間では着られるようになりますが、対して男性は、そのまま『洋装』が続きます。

男性はよっぽどのフォーマルの席か、ごく普段着(家着)としてしか着物を着なくなるんですよね。

そしてさらに時代が進むにつれ、普段でも着なくなってしまうのが『男性着物』なんですよね。

これらは『一般』の話になります。職業によっては常に和装をする仕事もありますし、伝統的な着物の文化を継承しているところもあります。

着物屋さんの事情

一般的な着物の販売店は、基本的に『女性をターゲット』にしています。

どんどん着物を着なくなる男性より、女性に対して着物を販売する方が効率的なんですよね。

女性着物の種類の多さは、そういう事情も織り込まれています。

『訪問着』や『付下』は、遥か昔からあった着物の種類ではありません。

明治時代以降に、新しく作られた着物の種類なんですよね。

さとし
さとし
主たる着物の商売相手である女性に対しては、洋服でいうところの『アイテム』が増えていったんです。

ということは、これからもっと男性が着物を愛して着るようになると、男性着物もいろんな種類が出てくるのかもしれませんよね。

着物における男女の違い【形が違う】

着物における男女の違い【形が違う】

着物における男女の違いは種類の数だけではなく、その形にも違いがあります。

そこを解説していきます。

おはしょり

最大の違いはこれです。

男性の着物は『対丈(ついたけ)』といって、肩から裾までの長さを測ってその人のサイズで寸法を決めます。

女性の着物は、帯の下で着物を折り上げる為に長めに作られます。

だから女性の着物は帯の下に『おはしょり』があるんですよね。

さとし
さとし
なので、男性の着物は女性のそれと比べて、圧倒的に着やすいんです。

着物を着るための道具(和装小物)も少なくて済むんですよね。

このことは後述します。

身八つ口

『身八つ口』は、女性着物の脇にある『あき部分』です。

男性の着物はそこが空いていません。

女性の着物に身八つ口がある理由は2つです。

①女性の着物は、帯の幅が広く胸高に巻くので、動きやすさを確保する為にある
②昔は、そこから『授乳』をしていた名残である

いずれも男性着物にはない理由ですよね。

男性は、帯を腹部(下腹)に巻くので、上半身はゆったり(それが故に着崩れやすい)していますし、当然授乳の機会はありません。

着物における男女の違い【着方が違う】

着物における男女の違い【着方が違う】

形の違いがある男女の着物は、その『着方』にも違いがあります。

先ほども言いましたが、『おはしょり』がない男性の方が着物の着方は簡単です。

そして、男性の帯の締め方は女性と比べて非常に簡単なんですよね。

さらに、女性の着物は衿を抜いてうなじを見せます。

女性の着姿の美しさのポイントですが、着物の着方という風に考えると難しさが増すんですよね。

男女の着物の着付けで必要な小物の『差』

男女の着物着付ける場合、必要な小物の数は圧倒的に違います。

さとし
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その差をわかりやすく表現する為に、着物と帯だけを着るのに必要な物を一覧にしてみます。

女性着物の場合

・着物
・帯
・長襦袢
・帯締
・帯揚
・腰紐3本
・伊達締め2本
・帯板
・帯枕
・コーリンベルト2本
・衿芯
・肌着
・足袋
・草履

ざっと、このくらいあります。

着付やり方によっている物には多少の変化がありますし、着物の種類によって(例えば振袖の場合はもっと小物が必要です)も変化します。あくまでも目安ということで考えてください。

対して男性着物は

・着物
・帯
・長襦袢
・肌着
・草履
・足袋

以上で着ることができます(やり方によって変化はあります)。

その差は一目瞭然ですよね。

さとし
さとし
こういうことからも、男性の着物は女性と比べると『着やすい』と言えるんです。

まとめ

ということで、『着物における男女の違い』をお話ししてきました。

最近は、男性でも着物を着る人が増えてきています。

ファッションとしての着物です。

お洒落な着こなしをする男性も増えているんですよね。

 

今後、男性着物はもっと流行っていくと思いますし、着る人も増えます。

そうして着物を着る男性が増えると、女性の着物を着る機会も当然多くなりますよね。

そんな未来がすぐそこまできていると実感している、今日この頃なんです。

では、よき『きもの』ライフを(^^)y