着物販売の評判【ちょっと過剰すぎやしませんか?】

着物
さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売17年
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は独立し、着物の制作にたずさわっています

着物の商売をしている不思議なことに多々遭遇します。

この道を17年やっていますが『着物屋の人には、無条件に着物のことを否定的に言ってもいい』、そんなルールがあるような気がします。

 

例えばこんな会話があります。

お店で着物を見ているお客様がいます。

さとし
いらっしゃいませ。
素敵な着物でしょう?
何かお探しですか?
お客様
いやぁ、着物はなかなか着る機会がないのよね。
家にもたくさん着物があって…
タンスの肥やしになっているんです。
さとし
そうなんですね…
でもお着物を気にしてられたから、何かご着用の予定があるのかなと思って…
お客様
でも着物は一人で着れないし、やっぱり着る機会もない。
母に揃えてもらった着物はあるけど一回も着ていなくて、しつけ糸がついたまま…
さとし
この人、なんで着物屋に来てるんだろう…

こんな会話が日常茶飯事のように起こります。

 

わかりやすいように、ラーメン屋に置きかえてみます。

さとし
へい、いらっしゃい!
ご注文お決まりで!?
お客様
いやぁ、ラーメンは食べる機会がなかなかないですからね…
家にもたくさんのラーメンのストックがあって、ほかの食材を置けなくて困っているんです。
さとし
!?そうかい…
でもうちの豚骨ラーメンは天下一だぜ!!
お客様
でもラーメンはつくるのも苦手だし…やっぱり食べる機会がない。
母からつくってもらったラーメンは、すべて食べずに残してたくらいなんです。
さとし
てやんでぇ!!
二度と来るんじゃねぇ!

こうなるはずです。

こんなことが起こる商品は着物だけだと思います。

さとし
私はこの道17年、これも『着物の伝統』と前向きにとらえれるようになりました(笑)。

でもこれでは、着物の商売を敬遠する人が出てきても仕方がありません。

やはり着物屋(着物という商品も含め)に対して、お客様は独特な先入観を持っているように思います。

今回は私、さとしが着物屋を代表して『ちょっと待ってよ!』と突っ込みたくなる言動を、考えていきたいと思います。

着物販売の評判【たんすの肥やしという残念な言葉】

着物販売の評判【箪笥の肥やしという残念な言葉】

『たんすの肥やし』という言葉がありますが、着物屋さんにとっては残念な言葉です。

別に僕たちに言わなくてもいいのに、そう思う場面によく遭遇します。

『たんすの肥やし』というのは要するに、『使用することがない衣類がたんすを占拠している状態』ということです。

さとし
だから冷静に考えると、たんすの肥やしと愚痴っている前に、即座にその問題を解決すべきです。

解決の仕方は以下の4点です。

①断腸の思いで捨てる
②誰かにあげる
③買取をしてもらう
④やっぱり、これから着てみる
着物好きマダム
でも捨てるといってもいい値段で買ったし、母から譲られたものを捨ててしまうのは…
着物好き女子
誰かにあげるといってももらってくれる人がいないし…
着物好きマダム
買い取ってもらっても値段がそこまで付くわけではないし…
着物好き女子
やっぱり、これから着てみるといっても着る機会はないし…

言っていることはわかりますが、何か行動をしないと『たんすの肥やし』問題は解決しません。

僕は着物屋という立場もありますのでやはり着物は着て活用してもらう、その方向性をおススメしています。

『着れない・着る機会がない』って…わがままに見えます

『着れない・着る機会がない』ってわがままに見えます

『着れない・着る機会がない』、着物の3大ネックのなかの2つです。

でも冒頭の会話のように、店頭でいきなりそのことを話し出してくる人がいます。

これも楽器屋でピアノを見てて、「ピアノが弾けない、弾く機会がない」と言っているのと同じです。

そうだとは思うのですが、本来ピアノを見ている人はピアノに憧れ(もしくは興味)があるはずなんですよね。

着物屋で着物を見ている人に、「着物は着れなくて、着る機会がない」と言われるとなにか駄々をこねている、そう見えるんですよね。

こっちとしてはそう言われてしまうと、もうコミニケーションの取りようが無いんですよね。

さとし
まあコミニケーションを取りたいと思っているのは、店サイドのひとりよがりかもしれないのですが、放っておいてほしいと思うのならもっと違う言葉があると思うんですよね。

接客されるのが嫌だなと思うなら

着物屋さんは『しつこい』というイメージがあるかもしれません。

というより、実際にしつこい販売や営業を受けたことがあるのかもしれません。

今の着物屋さんは昔ほどしつこく営業してきませんし、一人でゆっくりみたいという旨を伝えたらそうするはずです。

そのことを伝えるのも、コミニケーションなんだと思います。

店サイドも、お客様に気持ちよく着物を見てほしいと思っています。

そのことをお互いが分かり合えると、お客様にとっても店にとっても気持ちいいですよね。

全員が幸せになれる発想です。

言葉は大切なんですね。

一人でゆっくり見たいのであれば言いましょう。

着物好きマダム
放っておいてください。

と…

まとめ

私は17年間『きもの街道』をひた走っています。

その中で、思い出に残るお客様との出会いがたくさんありました。

そして着物を通したお客様のドラマを、数多く見てきましたし演出してきました。

そのドラマを作るのはお店というコミュニティーです。

出演者は、『お店の店員』でもあり『お客様』でもあるんですね。

そこに人と人との物語があるから楽しさも生まれる、そして着物という要素がはいると『物語』はもっと色めくんです。

やっぱり、着物は素敵なんですよね。

そんな着物を愛していただけると、これに勝る喜びはありません。

では、よき『きもの』ライフを(^^)y