着物のクリーニング【洗い張りを自宅でしてみた‼︎】

着物の管理・保管
さとし
さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売16年
・着物の店舗運営11年
・現在は着物の制作にたずさわっています。

着物のクリーニングの仕方に『洗い張り』というものがあります。

『洗い張り』ってどういうものかやったこともないし、身近でもないのでわからないわ?
お客様
お客様

現場で『洗い張り』というと、こういう答えが返ってくることがあります。

さとし
さとし
昔は着物の洗い方といえば、この『洗い張り』が主流でしたが今は確かに身近ではありませんよね。

そんな『洗い張り』をこの記事では、以下の3点で説明・解説していきます。

・『洗い張り』とは
・『洗い張り』のタイミング
・『洗い張り』を自宅でしてみた
さとし
さとし
『洗い張り』がわかると、着物の成り立ちにも触れることができるんですよね。

着物のクリーニング【洗い張りとは】

着物のクリーニング【洗い張りとは】

『洗い張り』とは…

①仕立て上がっている着物をほどく。
②ほどいた着物を水洗いしていく。
③水洗いの後『張(はり)』の作業で仕上げて乾燥させる。

この工程のことをいいます。

着物(絹)は基本的に水につけて洗うことができませんが、『洗い張り』はほどくことによって水洗いができるんですよね。

絹は水洗いをすると縮みます。
仕立て上がっている着物はその縮みが顕著になります。
なので、いったんほどいて水洗いするんです。
さとし
さとし
水に通して洗うので汚れはかなり落ちますし、何より気持ちがいいんですよね。

『丸洗い』との違い

一般的な着物のクリーニングといわれる『丸洗い』との違いを以下にまとめます。

・『洗い張り』は水洗い、『丸洗い』はドライクリーニング
→『丸洗い』は石油系溶剤で洗いますので、『油汚れ』しか取れません。
・『洗い張り』はほどいて洗う、『丸洗い』は仕立て上がった状態で洗う

こういった違いがあります。

 

下記の記事でも詳しくまとめているので、参考にしてください。

着物のクリーニングについて【基本知識・価格・方法の3点を解説】

『洗い張り』後の工程

『洗い張り』はほどいて洗うと言いました。

なので、『洗い張り』後の最終形態は『反物の状態』になります。

『洗い張り』の作業はそれで終了なんですよね。

 

ほどいた状態のものを『着物の形』に戻すには、仕立てをしなければいけません。

つまり『着物の形』にするには『仕立て代』もかかるということになるんですよね。

 

さとし
さとし
それを『機会』と捉えると、反物の状態に戻すことでそこからいろんな加工ができるのも『洗い張り』の特徴(良さ)なんですよね。
例えば、以下のようなことができます。
・染め替えをすることができる
・寸法を変えて仕立て直すことができる
・裏地を取り替えることができる
・着物以外のものに仕立て替えることができる

こんな作業をすると、着物は文字通り『よみがえり』ます。

この着物を『よみがえらせる』下準備が『洗い張り』ということでもあるんです。

洗い張りの『メリット・デメリット』

では『洗い張り』のメリットとデメリットを考えます。

メリットはここまで言ってきた通りですよね。

・水洗いするのでかなり綺麗になる
・仕立て替え等の加工ができる

こういうところです。

 

逆にデメリットは

・価格が高い
・時間がかかる

こういうことです。

特に価格は、仕立てを含めるとさらに高くなります。

裏地を交換するとその値段もかかりますし、『染め替え』をするとさらにかかりますよね。

このことが『洗い張り』が身近に感じられない要因になっているんです。

着物のクリーニング【洗い張りのタイミング】

着物のクリーニング【洗い張りのタイミング】
どんな時に『洗い張り』ってすればいいんですか?
お客様
お客様

こういった疑問って生まれますよね。

それを解説していきます。

古い(譲られた)着物を『洗い張り』する

家族や知り合いから、もう着なくなった着物を譲られることがあります。

さとし
さとし
この着物を『自分のものとして着たい』と思う時は『洗い張り』のタイミングかもしれません。

自分のものでもない箪笥にあった着物は、見える汚れも見えない汚れもあるし、裏地の黄変もあるし、寸法も違うことがほとんどです。

そんな時は『洗い張り』をしてみるといいかもしれません。

 

そうして自分サイズになった着物は新品のように感じます。

『洗い張り』と『仕立て替え』の代金はかかりますが、新しく着物を買うのと比べると安く上がるんですよね。

当分着ない着物を『洗い張り』する

例えば、娘さんに揃えた『振袖』があります。

その娘が結婚したら、その振袖は当分着なくなります。

 

その振袖は、そのまま箪笥にしまうのが大半です。

しかし『長期間箪笥にしまう』のは、着物を傷めることにもつながります。

そういった場合、『洗い張り』をして反物の状態で保管するのもいいんですよね。

その振袖を着る人が現れた時に、その人の寸法に仕立て直すといいんです。

 

そういう長期保管の為の『洗い張り』の活用もあります。

ぜひ参考にしてみてください。

着物のクリーニング【洗い張りを自宅でしてみた】

着物のクリーニング【洗い張りを自宅でしてみた】
さとし
さとし
ここからは私、さとしが実際に自宅で『洗い張り』をやってみたその様子です。
私、さとしは『洗い張り』に関しての知識はありますが、自分でするのは正直初めてで、見よう見まねで作業しています。
本来の工程とは大きくかけ離れているところもあるので、あくまでも参考程度に見てください。

着物をほどく

着物をほどく①

まずは着物をほどきます。

着物をほどくのはさほど難しくはありません。

縫い目があるので、それにそって『糸切りリッパー』や『糸切りバサミ』で丁寧にほどいていきます。

着物をほどく②
さとし
さとし
衿の部分にボタンがあるのですが、それを取るのが大変でした。
全てほどき『糸くず』を処理するのに約1時間かかりました。
着物をほどく③

着物はほどくと、表地は8枚に分かれます。

・身頃が2枚
・袖が2枚
・衽(おくみ)が2枚
・地衿と衿
これらで8枚です。
さとし
さとし
ほどいてみると、着物って意外にシンプルにできているんだと感じることができます。
裏地(胴裏と八掛)は黄変が激しかったので処分しました。

水洗いする

ほどいた着物は通常『端縫(はぬい)』といって、縫い合わせて反物の状態にするのですが、その技術が僕にはないので、それぞれを水洗いしていきました。

水洗いする①

まずは『中性洗剤』で洗っていきます。

基本的に布目にそってスポンジで洗っていきました。

水洗いする②

全て洗うと、今度はすすぎです。

洗剤を全て綺麗にすすぐのに非常に時間がかかりました。

実際の『洗い張り』の現場では、水が流れているプールですすいでいきます。

水洗いする③

一枚一枚、丁寧にすすいでいきます。

晴れた日にすると、気持ちがいいものです。

糊はりをする

糊はりをする

すすいだら、『糊はり』をしていきます。

本来は『伸子(しんし)』と呼ばれる布幅を一定に保つ道具で反物を張って、糊はりをするのですが『伸子』がないので、板に張って糊づけをしていきました。

干して乾燥させる

干して乾燥させる

それができたら、ハンガーに吊るして乾燥(陰干し)させます。

8月上旬だったので、あっという間に乾燥しました。

アイロンと『仕上げ』

アイロンとしあげ①

『伸子』での張りができないので、アイロンをあてていきます。

当て布をして、裏からアイロンをあてます。

アイロンとしあげ②

最後は反物の状態にして完成となります。

さとし
さとし
2日間にかけて『洗い張り』していきましたが、道具を増やし『端縫(はぬい)』ができるようになれば、結構完璧にできるのではないのかなと思いました。

まとめ

ということで、『洗い張り』についてまとめてきました。

昔はこれを普通に自宅でやっていました。

着物は生活の一部だったんですよね。

今は住宅環境を見ても、自宅で『洗い張り』をするのは困難だとは思いますが、これを知ると着物のことがよくわかります。

 

着物は知れば、もっと楽しくなります。

そうして、着物を着ることも楽しんでもらいたいんですよね。

では、よき『きもの』ライフを(^^)y

着物のクリーニング【まとめ】