羽織の種類【着物との合わせ方・用途・長さ】

着物の知識
●羽織ってどんなところで着るの?
●羽織を作るときの長さと寸法って?
●羽織の着物との合わせ方って?

●羽織の男女の違いとは?

着物にとって羽織は重要で、その重要性をお話しします。

さとし
羽織とは丈の短い着物の一種で、文字通り、着物の上に羽織ります
防寒ちりよけ礼儀・礼節などの目的で着用します。
おしゃれに着物を楽しむ人が増える昨今、羽織の需要も高まっています。
この記事では、そんな羽織について詳しく解説していきます。

 

内容に入る前に、少しだけ自己紹介を…

さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売を19年しています
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は着物の制作にたずさわっています。

 

この記事では、以下の内容を解説していきます。

・羽織の歴史と男女における違い
→羽織の用途とTPO
・羽織の種類【仕立て方の違いで解説】
→どの時期にどんな羽織がいいのか
・羽織の長さと寸法について
→現代の主流の羽織の長さ

この記事を読むと羽織の基本を知ることができ羽織の選び方も分かります

羽織の種類【歴史と男女の違い】

着物における羽織の種類【男女それぞれにとっての羽織】
さとし
羽織とは何か、をわかりやすくするために、男女の羽織の違いをお話しします。

 

戦国時代、戦場での防寒具として、鎧の上から『陣羽織』が着用されます。

陣羽織
さとし
陣羽織は、袖の無い羽織です。
上の写真のような陣羽織は、防寒防御の性質があり重々しく作られています。
今の陣羽織は重々しさは無くなり、主に男性が着用する『気軽な着物の上着』といったところです。
陣羽織を着る男性
さとし
上の写真は陣羽織を着用する私です。
女性でも陣羽織を着用する人はいます。
基本的にはカジュアル用途です。

 

着物好き男子
明治時代になると、士族以外の男性は『紋付羽織袴』を正装で着用し、今なお男性着物の正装は『紋付羽織袴』なんだよね。
着物仙人
武士などの士族は『裃(かみしも)』、公家などは『装束(しょうぞく)』が正装なんじゃな。
それを着用する文化は、一部の伝統的な祭祀や芸能でしか残ってないのぉ。

 

さとし
こういった背景があり、男性の和装にとって羽織は必要不可欠なものになっているんですよね。
黒紋付羽織袴
上の写真は男性の礼装の『紋付羽織袴』です。

男性着物にとっての羽織

男性着物にとって羽織は、正装でもカジュアルでも社交着としてマストなアイテムになります。

 

さとし
羽織を着ない男性の着姿を『着流し』と言います。
家着のようなイメージなんですよね。
着物好き男子
外に出かけるときは羽織は必須なんですね。
男性の着姿 羽織ありor羽織なし
写真は…
左が『羽織姿の男性』
右が『着流し姿の男性』

女性着物にとっての羽織

女性着物にとっての羽織
着物好きマダム
女性の羽織にも『黒紋付の羽織』や『黒絵羽織』と呼ばれる、正装用途の羽織もあったけど、現在はほとんど使われなのよね。
黒紋付の羽織
上の写真は黒紋付の羽織
背中に染め抜きの家紋があります。

 

黒絵羽の羽織

 

上の写真は黒絵羽の羽織
柄が絵羽状に配置されています。
着物好き女子
お母さんが『黒絵羽織』を着ていた記憶があるわ。
色絵羽の羽織
上の写真は色絵羽の羽織
黒ではない絵羽織もあります。

 

 

さとし
上の写真のようなものは、フォーマル用途の羽織になりますが、基本的に女性着物にとっての羽織は『カジュアル用途』なんですよね。

なので、女性用の羽織は好みに合わせて様々な柄があります。

着物好き男子
確かに、男性の羽織は無地が多いですよね。
女性の羽織の方が、おしゃれ度は高いんだなぁ。

室内での使用できる羽織

さとし
道中着(どうちゅうぎ)や道行(みちゆき)などの、着物のコートは室内では着用できませんが、羽織は着用できます。
着物好きマダム
洋服で言うと、ジャケットみたいな感覚が羽織なのよね。

羽織の種類【仕立て方と用途】

着物における羽織の種類
さとし
羽織にも種類があり、様々な用途があります。

ここでは、羽織の種類を紹介していきます。

ポイントは仕立て方です。

袷(あわせ)に仕立てた羽織

袷とは、裏地をつけた仕立て方のことです。

着物好きマダム
羽織の基本となるものね。
袷にすることで、防寒の効果が大きくなるわよね。

アンサンブル

アンサンブルとは、着物と羽織を同じ生地でつくったものです。

着物好きマダム
私もアンサンブルを持ってるわ。
よく着たものね。
アンサンブル
写真は紬素材のアンサンブル
ウールの印象があるアンサンブルですが、こういう絹素材のものもあります。

 

さとし
少し時代を感じますが、おしゃれ着物のコーディネートの定番として人気があります。
男性着物では、アンサンブルにすることでフォーマル感が高まります。

単衣(ひとえ)に仕立てた羽織

裏地のない単衣の羽織になります。

さとし
裏地をつけずに仕立てます。
当然、袷よりも軽くなります。
着物好きマダム
羽織は裏地が見えないから、袷でも単衣でも、見た目は変わらないのよね。
私は暑がりだから、単衣の方が着やすいかな。

薄地の生地を使った羽織

薄羽織

透け感のある薄地の生地の羽織もあります。

着物好きマダム
防寒というよりちりよけね。
透け感があるから、着物を透けさす楽しみもあるわ。

 

言うならばカーディガン感覚で着る羽織です。

さとし
薄手で軽く着れるものは非常に人気で、着物や羽織などを問わず多くの人から求められます。

羽織の種類【長さと寸法】

羽織の長さについて考える

羽織は仕立てる時、その長さは自分で決めます。

着物好きマダム
これも羽織の楽しみ方の一つなのよね。

 

さとし
ちなみに羽織の丈の長さは、明治から大正時代に長羽織が流行し、昭和中期(30年〜50年頃くらい)には短めの羽織丈が主流となり、現在はまた長羽織が主流となっています。
着物好き女子
今は長めがいいのね?

羽織を長羽織として仕立てる

着物好き女子
長めと言っても、どれくらいの長さがいいんですか?

 

下記は羽織丈を割り出すための計算表です。

6分丈(膝上)=身長✖️0.85✖️0.6
7分丈(膝くらい)=身長✖️0.85✖️0.7
8分丈(膝下ふくらはぎ)=身長✖️0.85✖️0.8

7分丈くらいから、『長め』だと感じる長さになります。

色んな羽織の画像を集めました

諏訪刺繍の絵羽織 絞りの絵羽織
フォーマル感の強い絵羽織

 

無地の羽織
フォーマル感も出る無地の羽織

 

 

総柄の羽織 総柄の小紋
カジュアルなイメージの総柄の羽織

 

 

飛び柄の羽織
カジュアルなイメージの飛び柄の羽織

 

 

縞柄の羽織
縞柄の羽織

まとめ

✔︎男性の場合、羽織は必須でフォーマル用途にも必要
✔︎女性の場合、羽織はカジュアル用途で使用する
✔︎羽織も仕立て方(裏地のあるなし)で季節を変える
✔︎現在は長めの羽織が主流

 

さとし
カジュアルで着物を楽しむ人が増える今、羽織の存在感が増しています

自分らしい羽織の着用は、着物ライフをもっと楽しくさせます。

こだわりを持って、羽織を選んでみて下さい。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y