着物の種類『大島紬』【特徴・TPO・柄のあれこれ】

着物の知識
●大島紬の特徴とは?
●大島紬の泥染ってどんな技法?
●大島紬のTPOって?

●大島紬ってどんな柄が使われているの?

大島紬といえば『着物に詳しくない人でも聞いたことがある』、ある意味最も有名な着物です。

さとし
そんな大島紬の基本的な特徴とTPOを知っていただくのが、この記事の試みです。
そして、大島紬の柄については写真で楽しんでもらいます。

 

内容に入る前に少しだけ、私の自己紹介を…

さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売を18年しています
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は着物の制作にたずさわっています。

 

この記事では、以下の項目について解説をしています。

・大島紬は1300年以上前からある
・大島紬と認定される5項目がある
・大島紬の代表的な技法である泥染めついて
・写真で楽しむ大島紬の柄

大島紬を知るのに基本的な内容となります。

読み進めて確認してみて下さい。

着物の種類『大島紬』【起源と特徴】

着物の種類『大島紬』【起源と特徴】

大島紬は、主に鹿児島県『奄美大島』でつくられる、織りと染めの着物です。

 

さとし
その歴史は古く、約1300年前(734年)に奈良東大寺の献物帳に『南方から赤褐色の着物が献上された』という記述があり、大島紬の特徴である『泥染』の文化があったと言われています。

歴史の流れとともに、今の大島紬の工程が確立され1975年に国の伝統的工芸品に指定、生産高のピークを迎えます。

現在は生産高こそ落ちたものの、着物の女王としての確固たる地位を築いています。

大島紬の特徴【重要工程の説明】

さとし
大島紬が以下の5項目を満たすことで、『伝統工芸品大島紬』の証書が与えられます。
①絹100%である
②先染め手織りである
③平織りである
④締機(しめばた)にて絣の加工をしている
⑤手機で織り上げている

内容を詳しく解説します。

絹100%である

大島紬が高級であり、多くの人に愛される所以がここにあります。

先染めである

さとし
先染めとは、『糸を染めて織っている』という事です。

対して『後染め』は、白生地を作り染め等で柄をいれるやり方です。

平織りである

さとし
『平織り』というのは、縦横の糸が一本づつ浮き沈みする、基本的な織り方を指します。

対するは『綾織り(あやおり)』です。

締機にて絣(かすり)の加工をしている

さとし
大島紬は『先染めの糸』を染める時に、『染め抜くところ』を綿の糸で織り上げます(締め上げる)。

これを『締機(しめばた)』といい、それを染め再度ほどきます。

そして、柄をあわせて織り上げるという工程を取ります。

着物好きマダム
大島紬は2度織ると言われる所以ね。

手織りで織り上げている

さとし
読んで字のごとくオートメーションではなく、織機を使って人の手で織り上げるという事です。

大島紬を最終的に織り上げるのは、女性の方です。

着物好きマダム
『大島紬』にどことなく優しさがあるのは、そういう事なのかもしれないわね。

大島紬の特徴【泥染めってどんな技法?】

さとし
様々な特徴のある『大島紬』ですが、代名詞となっている技法に『泥染め』があります。
すべての『大島紬』が泥染めで作られているわけではありません。
なので、先ほどの伝統工芸品と認定される5項目に泥染めは入っていません。

 

この泥染めは、世界中で『大島紬』だけが取り入れてる、天然の染色方法です。

さとし
シャリンバイと呼ばれる植物を煮立てたものと、奄美大島の『泥』で交互に染めていくことによって、糸が化学反応で光沢のある『黒』に染め上がるんです。
着物仙人
これは、火山の土地である『奄美大島』の土壌に鉄分が多く含まれているからできることなのじゃ。

 

まさに自然と融合した着物だと言えるんですよね。

さとし
このことは大島紬の柄にも現れています。
これについては、後述します。

着物の種類『大島紬』【そのTPO】

着物の種類『大島紬』【そのTPO】
さとし
『大島紬』はもとより、紬のTPOは『カジュアル』用途です。
普段着として楽しむ着物なんですよね。

洋服に例えるなら『デニム』のような感覚なんですよね。

着物好きマダム
高級な大島紬を、普段着として着るって、最高の贅沢なのよね。

 

奄美大島の伝統工芸品である大島紬は、地元では特別な意味があり、大島紬で作られた振袖があったりします。

着物好き女子
振袖って言えば、礼装の着物ですよね?
大島紬でそんなのもあるんだ。
さとし
一般的なものではありませんが、地元ならではの話なんですよね。

着物の種類『大島紬』【その柄の様々を写真で解説】

着物の種類『大島紬』【その柄の様々を写真で解説】
さとし
大島紬には様々な柄があります。
その柄には奄美大島の風土と関わりあるものもあります。

ここでは、そんな大島紬の柄を写真で解説していきます。

大島紬2
泥染めで染めた菱柄の大島紬

 

大島紬3
龍郷柄、龍郷町が名前の由来となるハブ(へび)をモチーフとした柄

 

大島紬4
藍泥の大島紬

 

大島紬
流水柄の大島紬

 

白大島
麻の葉柄の白大島紬。

 

大島紬
泥染めの十字かすりの大島紬。

 

大島紬
市松模様の大島紬

 

大島紬
亀甲柄の白大島紬。

 

大島紬
縦縞の機械織りの大島紬。

 

大島紬
いろんな花々の大島紬。

 

市松の大島紬
市松柄の大島紬。
十二マルキと呼ばれる、非常に細かい絣の大島紬

まとめ

着物には『大島紬』だけでなく、『地域』や『環境』に合わせて作られているものが、たくさんあります。

それを感じながら着るのも、着物の楽しみと醍醐味です。

さとし
是非、そんなワンランク上の『きもの街道』を突き進んでくださいね。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y