【着物の種類】付下と訪問着の違い、わかりますか?〜14枚の画像で解説〜

着物の知識
●付下ってどういう着物なの?
●付下げと訪問着ってどう違うの?
●付下の見分け方って?

付下(つけさげ)とは、フォーマル用途の着物で訪問着に次ぐ『格』の着物です。

さとし
『訪問着に次ぐ格』とありますが、両者の違いは非常にわかりづらいです。
この記事は、そんな難解な付下という着物できる限りわかりやすく伝える試みです。

 

内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…

さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売を19年しています
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は着物の制作にたずさわっています。

 

この記事の内容は以下の通りです。

・付下の3つの特徴を図解
・付下訪問着の存在は付下をわかりにくくしてる

 

この記事を読むことで、付下のことはほとんどわかります。

読み進めて確認してみて下さい。

【着物の種類】付下と訪問着の違い、わかりますか?【特徴を図解】

『着物の種類』付下(つけさげ)って一体なに?
さとし
まずは本来の付下の特徴を解説します。

 

着物好き女子
本来?
今の付下の特徴とは違うんですか?
さとし
そうなんです。
付下は時代(というより商売の形態)によって変化していて、それは後述します。
まずは本来の特徴を押さえるとわかりやすくなります。
着物好き女子
わかりました。

①模様が肩山を頂点に上向きに描かれている

着物好き女子
確かに、上向きに柄がついていますね。
さとし
小紋と比べるとその特徴がわかりやすくなります。
下の写真を見てみて下さい。
上の写真は小紋の反物の写真
着物好き女子
柄の『上向き』と『下向き』が交互についているんですね。

 

さとし
柄が上向きになるのは、『訪問着』や『振袖』『留袖』なども同様です。
着物好きマダム
フォーマル着物の基本要素なのよね。
さとし
次に説明する②の特徴も、フォーマル着物の基本要素です。

②裾・左肩前・左袖前・右肩後・右袖後に柄のボリュームがある

着物好き女子
なるほど!
柄の配置が決まっているんですね。

 

さとし
そうですね。
フォーマル着物は基本的にこの柄配置です。
『留袖』などは上半身には柄がなく、裾に柄のボリュームがあります。

③反物(縫い目)を渡って柄が繋がっていない(=絵羽模様でない)

これが本来の付下にしかない特徴になります。

さとし
これは訪問着と比較すると、わかりやすいです。

 

着物好き女子
これが絵羽模様なのね。
こう見ると、付下と訪問着の違いって明確ね。

 

さとし
そうなんですよね。
これですめばよかったのですが、すべてを覆す事態が起こってしまいます。

 

次に詳しく説明していきます。

『付下訪問着』の登場がより付下をわかりにくくした…

『付下訪問着』という種類の登場でよりややこしくなりました…
さとし
付下の中に付下訪問着という種類の着物が登場します。
付下のカテゴリの中にあるのですが、『反物(縫い目)を渡って、柄がつながる(=絵羽模様)』付下のことを付下訪問着と言います。
着物好き女子
それって『訪問着』なんじゃないの?
さとし
そう思うのが普通なのですが、異なる種類の着物として存在するんですよね…

 

付下訪問着と呼ばれるものが以下の写真です。

付下訪問着
着物好き女子
うーん…訪問着に見えるわ。
どうやって見分ければいいか、さっぱりわからないわ。
さとし
付下訪問着と訪問着の、『違いと言われているものを解説します。

訪問着と比べると控えめな柄ゆきが『付下訪問着』

着物好き女子
確かにそうかもしれないけど、明確ではないわね…

 

下の訪問着と付下訪問着の違いを見てみて下さい。

着物好き女子
この写真では付下訪問着の方が控えめだけど、右側も訪問着だと言われたらそう思うわ。

仕立てる前の状態が反物なのが『付下げ訪問着』

さとし
訪問着は『仮絵羽』という、ざっくり仕立てられた状態で販売されています。

 

さとし
対して付下訪問着は、反物の状態で販売されています。

 

さとし
これが訪問着と付下訪問着の違いだと言われたり藻するんですよね。
着物好き女子
でも仕立て上がると、元が仮絵羽か反物かなんてわからないですよね。
売った人と買った人しかわからないことが、2つの違いになってるってなんか変ね。

どうしてそんなにわかりにくいのか?

着物好き女子
どうしてこんなに、わかりにくくなっているのかしら?
さとし
諸説ありますが、考えられるのは『商売につながりやすくしている』ことです。
着物好き女子
どういうこと?

 

さとし
種類が多くなると、『全部、揃えなければならない』というセールストークにつなげれますよね。
着物好き女子
なるほど、付下や付下訪問着が持ってないとなれば、売る理由ができるってことね。

 

 

さとし
さらに『種類の複雑化』は、扱う人(売り手)に権威を発生させます。
『買い手が知らないことを知っている』、これです。
着物好き女子
なるほど、上手な商売の仕組みだけど、少し闇を感じますね。

まとめと関連

☆この記事で話したこと☆
・付下は肩山を頂点に上向きに柄が付けられている
・付下は柄のボリュームゾーンが決まっている
・付下は縫い目を渡って柄がつながっていない(Point

・縫い目を渡って柄がつながっている付下もある
→付下訪問着と呼ばれる
・付下訪問着と訪問着に明確な違いはない

・違いが不明確なのは『商売』が関連していると思われる

 

▼付下と訪問着の違いの動画はコチラ▼

 

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y