【着物の種類】単衣について〜見分け方・時期・合わせ方の3点〜

着物の知識
●着物の単衣の特徴とは?
●着物の単衣の見分け方とは?
●単衣の着物を時期って?

●単衣にするべきか…?袷にするべきか…?
●単衣の着物に合わせる帯って?
さとし
着物は素材と仕立て方で、『袷(あわせ)』『単衣(ひとえ)』『夏物(なつもの)』の3種類に分かれます。
洋服と同じく季節や寒暖に合わせて着分けるのですが、一応のルールも存在します。
この記事では、そんな単衣について網羅的に解説していきます。

 

内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…

さとし
私、さとし
・着物の営業・販売歴18年
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は独立して、着物の制作にたずさわりながら全国で着物の提案活動をしています

 

この記事では、以下の3点で『袷』『単衣』『夏物』を詳しく解説していきます。

・単衣の特徴と見分け方
・単衣を着る時期
・単衣に合わせるコーディネート
さとし
この記事は、『単衣寄り』の視点で話が進みます
読み進めることで、その根拠が明らかになります。

【着物の種類】単衣について〜特徴と見分け方〜

単衣という着物の種類【特徴と見分け方を解説】
さとし
まずは『袷』『単衣』『夏物』の特徴と見分け方を解説していきます。
この基本的な知識を得ることで、選び方を考えることができます。

『袷』『単衣』『夏物』の特徴と見分け方

まず、袷と単衣の違いは、『裏地があるかないか』です。

袷と単衣の違い
写真の左側が袷、右側が単衣。
裏地の『あるなし』がわかります。

 

袷は、胴裏(どううら)と八掛(はっかけ)という裏地を、表地にあわせて仕立てます

袷の裏地

 

単衣は、裏地を基本的に使わずに、表地一枚で仕立てていきます。

『居敷当(いしきあて)』『衿裏(えりうら)』『背伏(せぶせ)』 と言われる縫い目などを補強する裏地を使うことがあります。
単衣の裏地

 

着物好き女子
洋服でも裏地があるなしの違いで『あわせ・ひとえ』と言いますよね。

 

夏物はそもそも素材が違います

『絽(ろ)』『紗(しゃ)』『羅(ら)』と呼ばれる薄地の透け感のある生地を使って仕立てます。

絽の素材
さとし
上の写真は横段に透け感のある『絽』の生地です。
夏物はこのような透け感が特徴となるので、見分けはつきやすいです。

 

着物好き女子
確かに、夏物は見分けやすいわ。
でも袷と単衣は見分けが難しいのよね。
さとし
そうなんです。
裏地の『ある無し』の違いなので、着物をめくってみるのが一番早いのですが…
着物好き女子
そんなことできないわ…

 

袖口と裾をよく見ると『八掛(はっかけ)』という袷の着物に使われる裏地を確認することができ、それで見分けることもできます。

袷と単衣の袖口 袷と単衣の裾
上の写真は袷と単衣の袖口と裾の写真です。
注意深く見ると八掛の存在が確認できます。

 

着物好き女子
でも、よっぽど注意深くみないとわからないわ…
さとし
そうなんですよね。
つまり『袷と単衣は明確に違いはあるけど、見た目にはほとんど変わらない』ということなんです。
着物好きマダム
確かに、『これ単衣なのよ』って言うと大体の人が『そうなんだ!?』ってリアクションよね。
言われないとわからないくらいの違いってことなのよね。

【着物の種類】単衣について〜時期を(現実的に)考える

単衣という着物の種類【着分け方を具体的に考える】
着物好き女子
『袷』『単衣』『夏物』ってどの時期に着て、着分けるんですか?
さとし
それについて考えていきましょう。

【参考程度…】単衣の時期のルール

『袷』『単衣』『夏物』の着分けには、一つの答えがあります。

さとし
これはお茶の世界での基準らしく、一応着物の業界のルールとされています。

以下の通りです。

10月~5月=袷(あわせ)
6月と9月=単衣(ひとえ)
7月と8月=夏着物

 

着物好き女子
随分と袷を着る期間が長いのね。
さとし
几帳面な日本人が好きそうな、明確でわかりやすい基準ですが、全てをこれでいくには無理があります。
着物好きマダム
そもそもこういうものって、決められてもいない限り『自由』でいいはずよね。

 

さとし
ただ、知識として持っておいてもいいので、最初に解説した次第です。

 【単衣の時期を考える】日本の気候

日本は四季が違いがありますが、その境目は『曖昧』です。

さとし
12月くらいでも、天気がよくて風がないなら暑く感じることがありますし、4月になっても寒いこともありますよね。
着物好き女子
気温って、その人それぞれに感じ方も違いますもんね…

 

故に『月毎で着分ける』という発想には無理があります。

洋服と同じく、その日の気候や体感で着分ける方が自然です。

【単衣の時期を考える】着物は重ね着

着物は袷・単衣・夏物に問わず、その下に長襦袢を着ます。

Tシャツみたいに、一枚で着るのはゆかたくらいです。

着物好きマダム
着物にはその上に、羽織るものもあるのよね。
寒い時はそれを着るようにしてるわ。

 

さらに着物には洋服と違い『半袖』というものがありません。

さとし
まあ、作ることができないわけではないのですが、一般的ではありません。
ということは、着物って基本的に『冬寄り』だと言えるのかもしれません。

下には長襦袢を着てるし、上に羽織るものもある、それならば着物は単衣の方が機能的だというのが私の考えなんですよね。

【単衣の時期を考える】着物を着る場面

さとし
私はもっと日常に着物を着てほしいと思い活動していますが、着物は『本当の意味』で日常着にはならないとも思っています。

 

例えば、雪が降り積もる中、着物で外を歩くことはありません。

そもそも危ないです。

逆に、炎天下でも着物は着ませんよね。

最近の日本の夏の暑さは異常で、着物だろうが何だろうが『炎天下の屋外』に長時間出るのは危険です。

命の危険につながります。

さとし
こういったことを考えても、着物を着るときは『快適に着る』ことを重要視すべきです。

 

それならば『単衣の方が快適に着れるのではないか?』というのが、私の考えです。

【着物の種類】単衣について〜コーディネート〜

まとめ【『単衣推し』の理由】
着物好き女子
単衣ってどういう合わせ方をしたらいいんですか?
単衣用の帯とか小物とかってあるんですか?
さとし
単衣用の帯や小物などは、基本的にありません
袷で使えるものは単衣でも使えますし、逆もしかりです。
夏物は明確に夏用の帯や小物があります。

 

さとし
なんでもいいとは言っても、やはりその季節感に合わせて着物は楽しみたいものですよね。
着物好き女子
確かにそうね。
単衣を着るときはやはり涼やかなイメージで着たいわよね。
着物好きマダム
春から初夏にかけて着る単衣、秋に着る単衣もイメージを変えたいわ。

まとめ

☆この記事で話したこと☆
✔︎袷と単衣の見分け方は『裏地のあるなし』
✔︎袷と単衣は見た目(着姿)に大きな違いはない
✔︎気候や体感によって、袷・単衣・夏物は着分けるとよい
✔︎単衣用の帯や小物などはないが、季節感に合わせてコーディネートするのがよい
さとし
今、着物の業界は薄物ブームです。

薄い透け感のある着物が、『夏も単衣も兼用』という事で幅を利かせているんですね。

これも着やすさ(機能性)を重視した発想です。

 

特に『着物をカジュアルで楽しむ』なら、スタイルは自由です。

それならば『単衣のほうが着やすい』と私は考えます。

ちなみにお手入れも単衣の方が楽です。

 

さとし
この流れは『フォーマルの着物』でも例外ではありません。
現に洋服はそうですからね。

『もっと自由に、楽しくそして着やすく』

こうやって着物の可能性を追求していただけると、嬉しく思います。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y