●着物の生地のそれぞれの特徴は?
●生地によってTPOの違いがあるのか?
着物には、様々な種類の生地が使われます。
内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…
・着物の営業・販売を19年しています
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は着物の制作にたずさわっています。
この記事では、以下の生地と素材の紹介します。
・絹(きぬ)
・木綿(もめん)
・麻(あさ)
・ウール
・ポリエステル
→それぞれのメリットとデメリットを解説
●絹の生地の分類8選
・縮緬(ちりめん)
・お召(おめし)
・羽二重(はぶたえ)
・綸子(りんず)
・緞子(どんす)
・絽(ろ)
・紗(しゃ)
・羅(ら)
→それぞれの特徴を解説
目次
着物の生地の種類【代表的な5つの素材】
早速、見ていきましょう。
【着物の生地素材】絹(きぬ)
絹は蚕の繭から取れる糸で作られます。
着物の素材としては最高級品とされます。
【着物の生地】絹のメリット
絹は『手ざわり』と『光沢』が、遥か昔より人々の憧れでした。
一般的に絹の着物は、他の素材より格上とされます。
【着物の生地】絹のデメリット
その一方で、絹は『湿気に弱い』『ちぢみやすい』『変色もしやすい』そんな特徴があります。
実際お手入れは大変で、うちにもほったらかしにして黄ばんだ絹の着物があるわ。
なかなか手が出せないの…
【着物の生地素材】木綿(もめん)
木綿は綿の種子から糸を作り、それを生地にしたものです。
普段着用として、長く愛されている素材です。
私も木綿から着物を始めたわ。
【着物の生地】木綿のメリット
木綿の最大の特徴はその丈夫さです。
普段着物として人気があります。
【着物の生地】木綿のデメリット
そこに注意すれば、万能の普段着となるでしょう。
【着物の生地素材】麻(あさ)
麻は植物表皮の内側からとれる繊維であり、麻と苧麻(からむし)が代表的です。
新潟県が産地の麻素材の着物
【着物の生地】麻のメリット
麻は『吸湿性』と『通気性』が最大の特徴です。
私も夏着物として愛用しているわ。
通気性がいい麻は自宅での洗濯も可能で、夏の長襦袢として重宝されています。
【着物の生地】デメリット
麻は 『染色性に劣る』『色落ちのしやすい』素材でもあります。
【着物の生地素材】ウール
ウールは羊などの『毛』から取れる素材になります。
【着物の生地】ウールのメリット
シワになりにくいので、気軽な普段着として愛用されているんですよね。
【着物の生地】ウールのデメリット
【着物の生地素材】ポリエステル
ポリエステルは石油から作られる『化学繊維』です。
【着物の生地】ポリエステルのメリット
ポリエステルは安価で、強度があり洗濯もできるので、気軽に扱える素材です。
汚れても気にならない気軽な着物です。
【着物の生地】ポリエステルのデメリット
デメリットは『通気性が低い』『静電気が発生しやすい』です。
ポリエステルは、未来ある素材と言えるんですよね。
【着物の生地の種類】絹の生地の種類8選
代表的な『5つの着物の生地』を紹介しました。
次は絹素材を深掘りしていきます。
【絹の生地の分類】縮緬(ちりめん)
縮緬は、経糸(たていと)にほとんど撚らない糸を使い、緯糸(よこいと)には撚った糸を使います。
京都府の丹後や、滋賀県の長浜、新潟県などが主な産地です。
縮緬素材の着物の用途
私の揃えたフォーマルの着物は縮緬素材のものが多いわ。
【絹の生地の分類】御召(おめし)
御召は、経糸(たていと)に『八丁撚り』という強い撚りのかかった糸を使い、緯糸(よこいと)にも撚りの強い『御召緯(おめしぬき)』という糸を使った生地になります。
さらに、糸の段階で精錬することにより、コシのある生地となります。
江戸時代の将軍が、この素材の着物を好んで『お召』になったことから、この名前がついています。
京都西陣が有名な産地ですが、新潟の塩沢御召は伝統工芸品に指定されています。
お召素材の着物の用途
いつか、御召の着物をつくりたいなぁ…
【絹の生地の分類】羽二重(はぶたえ)
通常であれば、同じ太さの経糸(たていと)と緯糸(よこいと)で織り上げるのに対し、羽二重は経糸(たていと)を細い2本の糸にして織っていきます。
礼装の着物に主に使われますが、その特性を活かし裏地としても使われる生地になります。
【絹の生地の分類】塩瀬(しおぜ)
塩瀬羽二重の略で、厚手の羽二重になります。
主に帯地として使われます。
憧れたわぁ…
塩瀬の素材に、染めで柄を描いています。
【絹の生地の分類】緞子(どんす)
繻子織(しゅすおり)という織り方で作られる絹織物です。
厚地で光沢があり、どっしりした高級感があります。
金襴緞子(きんらんどんす)と言われるように、高級織物の代名詞となっています。
帯にも使われます。
【絹の生地の分類】綸子(りんず)
綸子、緞子とよく似ていますが、練り糸を使う緞子とは異なり、生糸を用いています。
艶があり滑らかな生地で、やわらかい質感があります。
礼装の着物、そして襦袢にもよく使われます。
【絹の生地の分類】絽(ろ)
絽は捩り織(もじりおり)で織られる、薄地の生地になります。
緯糸(よこいと)7・5・3本おきに経糸(たていと)2本を交差させて織っていくことにより、透け感が出ます。
夏物の着物の定番として使われます。
絽の着物の用途
絽の訪問着もあるし、黒紋付の夏用も絽の生地よね。
【絹の生地の分類】紗(しゃ)
紗は絽と同じく捩り織で織られる、薄地の生地になります。
緯糸(よこいと)を1本づつ取った上で、強撚糸の経糸(たていと)を2本づつ絡ませて織り上げます。
夏の着物で使われることの多い生地になります。
縮緬素材の着物の用途
ちりよけとしての要素と、軽やかに使えるのがいいのよね。
【絹の生地の分類】羅(ら)
絽や紗と同じく捩り織で織られる、薄地の生地になります。
羅は3本以上の経糸(たていと)を絡ませることによって、網のように目の粗い生地になります。
特殊な機を使っているので、流通量は非常に少ないです。
帯地やちりよけコートの素材などに使われます。
まとめと関連
着物の素材の特性を理解すると、どんな場面に着たらいいのかがわかるし、着物の楽しみも増えます。
素材って、洋服だったらすごく気にするものね。
では、よき『きもの』ライフを(^^)y