着物の種類【袖丈(袖の長さ)に隠された『秘話』】

着物の知識
さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売の仕事をしています。
・この道16年、お客様とともに着物の輪を広げてきました。
・現在は独立し、着物の制作にたずさわりながら、着物の提案活動をしております
このブログでは、私の着物の知識やこれまでの経験を活かした『着物のあれこれ』をお話ししています。

着物の袖丈(そでたけ)の話です。

さとし
袖丈とは『着物の袖』の長さのことです。
次の写真を見て下さい。

この写真の『①→②』の長さが袖丈です。

着物は洋服と比べて『袖が長い』のが特徴なんですよね。

さとし
着物は基本的にこの『袖丈』以外に、形の『違い』はほとんどありません。
なので、『袖丈』は着物の種類に関しての重要要素でもあります。
そして『袖丈』には『物語』があるんです!
▼詳しくは着物のTPO(種類)のお話もご覧ください▼

着物の種類の一覧【全て解説】

この記事では、着物の『袖丈』にまつわる『物語』をお話しいたします。

明日使える『着物のウンチク』になります。

着物の種類・外伝【袖に関する『ことわざ』】

着物の種類・外伝【袖に関する『ことわざ』】

まずは着物の『袖』に関する言葉(ことわざ)をご紹介します。

『袖』にまつわる言葉は多いんですよね。

袖振り合うも多生の縁

着物仙人
「道で袖が触れ合うようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものである」という『ことわざ』なのじゃ。

『多生』というのは、仏教の言葉で『何度も生まれ変わる』という意味になります。

人と人との『出会い』は何らかの必然で、大事にするべきという『教え』ですよね。

素敵な言葉だと思います。

人間関係が希薄になっている現代人に刺さる言葉ですよね。

無い袖は振れない

着物仙人
これはお金の話で『無いものは無いから払えない』という意味じゃぞ。

着物の袖には色んなものが入ります。

その一つが『財布』です。

さとし
だから、袖が無いということは『財布がない』ということになり、お金が払えないという意味になるんですよね。

着物の袖は『財布以外』にも色んなものが入ります。

『大きなポケット』が両腕についている感覚で、例えば『携帯電話』を入れることもあります。

着物は『収納名人』なんですよね。

そんな多機能な『着物の袖』、それが無いなら『あきらめてくれ』ということなのかもしれません。

戴くものは夏も小袖

着物仙人
『欲が深いこと』の例えなのじゃぞ。

「貰えるものなら不要なものでもなんでもいい」という意味からきています。

小袖は本来、夏には使用しないからなんですよね。

袖から火事

着物仙人
「小さいことが、大きなことに発展する」という意味で使われるのじゃ。

実際に江戸時代には『振袖火事』と呼ばれる大火事があったんです。

確かに『着物の袖』は着ている人には感覚がなく、いつの間にか汚れていたりもします。

着物の袖が大事件になっていることは、今も昔も変わりない事なのかもしれません。

袖の下

着物仙人
いわゆる『賄賂(わいろ)』のことなのじゃ。

「人に見つからないように渡す様」を表しています。

悪い人が、袖の下から何かを手渡すシーンを時代劇なんかでもみたりしますよね。

『袖丈』に現れる女性の一生

袖丈に現れる女性の一生

『袖丈』には女性の『物語』が表現されているんですよね。

年代によって、袖の『長さ』や『形』が変わるからです。

そこには、『色んな思い』があったりするんですよね。

そんな『袖丈』の物語をお話しします。

『袖丈』の基本【標準寸法】

着物の『袖丈』には、『標準寸法』というものがあります。

さとし
一尺三寸(いっしゃくさんずん)です。
センチで表すと、約49センチです。

基本的に『既製』で売られている着物(もしくはゆかたも)はこの寸法の『袖丈』で販売されています。

着物は長襦袢と『袖丈』を合わせておかないと、着た時に違和感がでるので『長さ』を統一しているんですよね。

着物を誂えでつくる場合は、当然この『袖丈の長さ』を選ぶことができます。

身長の高い低いで『袖丈の長さ』を変えたり、着物の柄やTPOによって同じく変えたりします。

着物の販売の現場では、説明をして要望があればそういう対応をします。

ただ袖丈を『一尺三寸の標準』にしておくほうが互換性があるので、基本的にはそちらをおススメさせていただいています。

着物好きマダム
着物をもっと楽しく自分らしく着るのなら、こういった部分にも『こだわり』を入れてみてもいいわね。

『袖丈』の長さは若さの象徴

袖の長さは『若さの象徴』でもあります。

それが一番わかるのが『振袖』ですよね。

『振袖の袖丈』は、それこそ地面につくくらいの長さです。

『豪華さ』というところもあるのですが、やはり『若さと可愛さ』の象徴ですよね。

年代ごとに短くなる袖丈

そんな着物の袖丈ですが、『振袖』をピークに短くなっていくんです。

基本的には『結婚』を機に袖丈を短くします。

そして、そこからは年代に応じて『袖丈』を変えてんですよね。

結婚当初は長めにつくっていた着物の『袖丈』、次につくる時は短めにつくる。

そういう風にして、年代を表現していたのも『袖丈』なんです。

母が娘につくる着物の『袖丈』

この『着物の袖丈』には、母から娘への『物語』があるんです。

さとし
ある60代の女性が、自分用に仕立てられた着物を多数持ってきました。

その着物をつくったのはその女性のお母様です。

色々見ていくと、『袖丈』が着物によって違うんですよね。

それぞれの着物の『袖丈』がまちまちなんです。

おそらく、その女性のお母様は自分の娘の為に、『年代に応じた』着物を用意しているんですよね。

『年代ごとの用途』を思いはかって、そうしているんです。

それは、『言葉で表すことのできない母の思い』なんだと思います。

さとし
お母様はもう亡くなられているということなので、真実を証明することはできませんが、そんな『着物の物語』を信じて着物を大事にするのもいいと思うんですよね。

着物にはそんな母と娘の『物語』があったりするものなのです。

まとめ

ということで、着物の袖丈のお話をしてきました。

着物は伝統を多く抱えています。

その伝統の中の物語が、やはり多くあるんですよね。

そんな『物語』に触れながら着物を楽しむのが『着物の醍醐味』なんです。

では、よき『きもの』ライフを(^^)y