
着物の袖丈(そでたけ)の話です。

次の写真を見て下さい。

この写真の『①→②』の長さが袖丈です。
着物は洋服と比べて『袖が長い』のが特徴なんですよね。

なので、『袖丈』は着物の種類に関しての重要要素でもあります。
そして『袖丈』には『物語』があるんです!
この記事では、着物の『袖丈』にまつわる『物語』をお話しいたします。
明日使える『着物のウンチク』になります。
目次
着物の種類・外伝【袖に関する『ことわざ』】

まずは着物の『袖』に関する言葉(ことわざ)をご紹介します。
『袖』にまつわる言葉は多いんですよね。
袖振り合うも多生の縁

『多生』というのは、仏教の言葉で『何度も生まれ変わる』という意味になります。
人と人との『出会い』は何らかの必然で、大事にするべきという『教え』ですよね。
素敵な言葉だと思います。
人間関係が希薄になっている現代人に刺さる言葉ですよね。
無い袖は振れない

着物の袖には色んなものが入ります。
その一つが『財布』です。

着物の袖は『財布以外』にも色んなものが入ります。
『大きなポケット』が両腕についている感覚で、例えば『携帯電話』を入れることもあります。
着物は『収納名人』なんですよね。
そんな多機能な『着物の袖』、それが無いなら『あきらめてくれ』ということなのかもしれません。
戴くものは夏も小袖

「貰えるものなら不要なものでもなんでもいい」という意味からきています。
小袖は本来、夏には使用しないからなんですよね。
袖から火事

実際に江戸時代には『振袖火事』と呼ばれる大火事があったんです。
確かに『着物の袖』は着ている人には感覚がなく、いつの間にか汚れていたりもします。
着物の袖が大事件になっていることは、今も昔も変わりない事なのかもしれません。
袖の下

「人に見つからないように渡す様」を表しています。
悪い人が、袖の下から何かを手渡すシーンを時代劇なんかでもみたりしますよね。
『袖丈』に現れる女性の一生

『袖丈』には女性の『物語』が表現されているんですよね。
年代によって、袖の『長さ』や『形』が変わるからです。
そこには、『色んな思い』があったりするんですよね。
そんな『袖丈』の物語をお話しします。
『袖丈』の基本【標準寸法】
着物の『袖丈』には、『標準寸法』というものがあります。

センチで表すと、約49センチです。
基本的に『既製』で売られている着物(もしくはゆかたも)はこの寸法の『袖丈』で販売されています。
着物は長襦袢と『袖丈』を合わせておかないと、着た時に違和感がでるので『長さ』を統一しているんですよね。
着物を誂えでつくる場合は、当然この『袖丈の長さ』を選ぶことができます。
身長の高い低いで『袖丈の長さ』を変えたり、着物の柄やTPOによって同じく変えたりします。
着物の販売の現場では、説明をして要望があればそういう対応をします。
ただ袖丈を『一尺三寸の標準』にしておくほうが互換性があるので、基本的にはそちらをおススメさせていただいています。

『袖丈』の長さは若さの象徴
袖の長さは『若さの象徴』でもあります。
それが一番わかるのが『振袖』ですよね。
『振袖の袖丈』は、それこそ地面につくくらいの長さです。
『豪華さ』というところもあるのですが、やはり『若さと可愛さ』の象徴ですよね。
年代ごとに短くなる袖丈
そんな着物の袖丈ですが、『振袖』をピークに短くなっていくんです。
基本的には『結婚』を機に袖丈を短くします。
そして、そこからは年代に応じて『袖丈』を変えてんですよね。
結婚当初は長めにつくっていた着物の『袖丈』、次につくる時は短めにつくる。
そういう風にして、年代を表現していたのも『袖丈』なんです。
母が娘につくる着物の『袖丈』
この『着物の袖丈』には、母から娘への『物語』があるんです。

その着物をつくったのはその女性のお母様です。
色々見ていくと、『袖丈』が着物によって違うんですよね。
それぞれの着物の『袖丈』がまちまちなんです。
おそらく、その女性のお母様は自分の娘の為に、『年代に応じた』着物を用意しているんですよね。
『年代ごとの用途』を思いはかって、そうしているんです。
それは、『言葉で表すことのできない母の思い』なんだと思います。

着物にはそんな母と娘の『物語』があったりするものなのです。
まとめ
ということで、着物の袖丈のお話をしてきました。
着物は伝統を多く抱えています。
その伝統の中の物語が、やはり多くあるんですよね。
そんな『物語』に触れながら着物を楽しむのが『着物の醍醐味』なんです。
では、よき『きもの』ライフを(^^)y
・着物の営業・販売の仕事をしています。
・この道16年、お客様とともに着物の輪を広げてきました。
・現在は独立し、着物の制作にたずさわりながら、着物の提案活動をしております
このブログでは、私の着物の知識やこれまでの経験を活かした『着物のあれこれ』をお話ししています。