
着物の店舗の店長をしております。
この業界は、大学卒業以来15年のキャリアです。
お客様とともに、着物の奥の深さを学んでまいりました。
このブログは、その経験や知識を活かしたものになっております。
よろしくお願いいたします。
着物は形が決まっています。
それは、どんな着物でも一緒です。
大きさ(サイズ)の違いはありますが、形は一緒なんですね。
なので、柄の配置でTPOが決まります。
すべての形が同じなので、色は着姿にとって重要な要素となります。
『顔映り』という言葉があります。
人は顔立ちや、肌の色など同じ人はいません。
だから、人によって似合う色が違うんですね。
すべての色が似合うのはマネキンです。
マネキンは生きていません。
感性・感覚は人それぞれ違うので、僕の主観ではありますが、似合う色をテーマに、話していきたいと思います。
あくまでも主観なので、賛否両論あるかもしれませんが、よろしくお願いします。
目次
拡張高き黒
黒ってひとつじゃん!と思うと思いますが、黒にも種類があります。
漆黒(しっこく) 黒紅(くろべに) 墨黒(すみぐろ) etc…
色味表を見ると細かい違いがあります。
黒にも濃さと、他の色を混ぜて色味を変えてるんですね。
フォーマルとしての着物と考えた時に、黒は格を表します。
洋服でもそうですよね。ブラックフォーマルってやつです。
着物でも黒留袖など、黒ベースの着物はフォーマル感が強くなります。
より格調を示すために、黒の濃さを打ち出したりします。
黒色と黒色を比較して、いかにこの黒が黒なのか…なんか念仏みたいですが、黒は黒と比較すると濃さがよくわかります。
より黒が濃いものがフォーマルな席では、よしとされているんです。
ただ黒はフォーマルだけではありませんね。
カジュアルでも黒い着物は多いんです。というより洋服に近いその感覚は、かっこいいイメージでよく使われる定番のカラーです。
着物のカジュアルカラーの王道は、『黒』と言えるかもしれません。
フォーマルの黒とカジュアルの黒。
着物においては意味が全く違うものなんですね。
フォーマルの黒の思い出
個人的な事なのですが、僕は出雲大社で結婚式を挙げています。
出雲大社って結婚式が出来るんです。
とっても良かったので、これから結婚式をお考えの人にはオススメです(^^)y
その出雲大社で結婚式のパンフレットがありまして、それが随分、古いものだったのですが、女性は全員黒留袖。
男性は全員黒紋付に袴(袴はグレー)。
新郎も同じく。唯一新婦だけが白無垢で真っ白。
そんな感じで一同整列の写真がありました。
見た瞬間、衝撃でしたね…
「なんかもう、めでたくないじゃん」というのが率直な感想です。
真っ黒ですもん…
ただ、格調の高さと荘厳さを、写真から感じることが出来ました。
結婚式とは本来、こういうものなのかもしれません。
結婚式というより『祝言(しゅうげん)』という感じでしたね。
今では、それは古くささに感じられます。
そのパンフレットも、おそらく30年くらい前の写真だと思います。
僕が結婚したのは2010年でしたが、かまわずそれを渡してくるあたりに『出雲大社』の伝統と格式、そしてブレない心意気を見たような気がしました。
今は結婚式の様相も、変わってきています。
どちかかというと、今の結婚式は華やかな色であるほうが、場の雰囲気にはあっていると思います。
格調高き黒も、使う場面は変化しています。
本当にそうか?極妻、お水の黒
黒系のかっこいい着物をコーディネートすると、『極道の妻』とか『お水の仕事』のイメージを持たれる方がいます。
これは完全に『イメージ』ですね。
接したことがないので、僕には極道の奥様の、日常はわかりません。
『ごくせん』をイメージされる人が、多いとも思います。
主演の仲間由紀恵さんが、素敵な黒の刺繍の着物を着ていました。
素敵な着物なので、よかったら見てください。
もしくは岩下志麻主演『極道の妻たち』のイメージが強いですよね。
その映画の画像を見ていますが、岩下志麻の着物は黒ばかりではありません。
とにかくイメージが強いんですね。
おそらくですが、普通?の極道の妻たちも着物を着る時は、自分にあった着物を選ぶはずです。
みんながみんな、岩下志麻や仲間由紀恵ではないのですから。
黒がユニフォーム、ってなわけではないと思います。
一方、『お水』の仕事の人。
彼女たちは接待・接客が仕事なので、黒という強めの色はあまり選ばないはずです。
お店もどちらかというと薄暗いので、黒だと印象が悪くなります。
なのでお水の人は、優しめで控えめな色柄の着物を着用します。
これには根拠があります。
着物屋ではそういうお客様がいるからですね。
その人がそう言ってたので、やはり『お水=黒』というのはイメージ先行ではないかなと思います。
黒の似合う人
上記のようなイメージがある黒の着物。
でもイメージが先行しているという事で、黒が似合う人は、そういう雰囲気の人なのですね。
だから僕も、店舗で黒をコーディネートするときは…
②どちらかというと色気がある人
③個性を重要視したい人
こういった人に、提案していきます。
ただ、黒はコーディネートが『決りすぎる』と、やっぱり『その筋の人』に感じられてしまうので、やさしさの要素を入れるようにしています。
バランスって大事です。
黒のコーディネート
カジュアルに絞ります。
黒の兄弟たち
黒に『白~黒』を合わせるやり方ですね。すっきりしたかっこいい感じになります。
グレー系の色を持ってくるのもおススメで、濃淡でやさしいイメージになりますね。
黒のきもの・白の帯・小物が黒という合わせ方になると『決まりすぎ』というやつで、自信があるのならお勧めします。
あまり『決まりすぎ』ないように、他の色をさして合わせるほうが、いいかも知れないですね。
黒にさす色のおススメ・赤・青
黒と赤は相性がいいです。間違いないです。
後は、赤の濃淡で調整するのがいいと思います。
強い赤になればなるほど、印象はきつくなりますからね。
青を入れると、印象が和らぎます。ただあんまり淡い青(水色系)は合わないと思います。
寒色が強くでる印象になるのでクールなイメージがでてる素敵ですね。
黒と合わせると個性が出ちゃう色
①紫
特に濃い紫は合うんですが、セクシーさが増します。
色気ではなくセクシーです。着物の合わせ方としては、少しむずかしいです。
②ピンク
これも個性が出ますね。
ショッキングピンクと合わせると、もう着物のイメージではないですね。
③黄色
色の相性はいいのですが、虎のイメージですね。
着物にはピンときません。
これらは、そもそも洋服の合わせ方なのかもしれません。
着物の本来持っているイメージとは少し違うんでしょうね。
ただコーディネートは進化しています。
これからは、変わってくるかもしれませんね。
最後に
今回は黒の着物をテーマにお届けしました。
冒頭にも申し上げた通り、コーディネートは僕の経験による主観です。
そんな僕も、たくさんの着物を販売してきました。
ご参考にしていただけると、嬉しく思います。
そして、黒の着物をかっこよく、自分らしく楽しんでいただけることを、願っております。
では、よき『きもの』ライフを(^^)y
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