【着物の種類】お召とは何か?歴史をさかのぼる

着物の知識
●お召ってどういう着物?
●いつお召ってできたの?
●お召ってどんなところで着る着物?

 

さとし
お召とは先染の糸を用いた平織りの絹織物で、かつて江戸幕府の11代将軍・徳川家斉が好んで御召しになったので、『お召』と呼ばれています。
今回はそんなお召について詳しくお話ししていきます。

 

内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…

さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売を18年しています。
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は着物の制作に携わっています。

 

この記事では、以下の内容をお話しします。

・お召とは何か?『違い』『歴史』『TPO』
・男性着物としてのお召
・お召ギャラリー

この記事を読むことでお召の知識と、そのイメージを膨らませることができます。

読み進めてみて下さい。

【着物の種類】お召とは何か?〜歴史をさかのぼる〜

【着物の種類】お召とは何か?〜歴史をさかのぼる〜

まずはお召の基本知識です。

【着物の種類】お召と縮緬の違い

さとし
お召を理解するには、縮緬(ちりめん)との違いをお話しするのが一番いいので、その形で進めます。

 

縮緬は、経糸(たていと)には撚り(より)をかけずに、緯糸(よこいと)に撚りをかけていくことで、シボを出します。

対してお召は経糸にも撚りをかけた糸を使い、緯糸にも撚りの強い糸を使います。

 

最大の違いはお召が先染めで、縮緬が後染めであるということになります。

縮緬は白生地を作り、そこから様々な技法で柄を作りますが、お召は糸を染めて織っていきます

さとし
と同じやり方なのですが、お召はその糸が生糸を使っているので、ややカジュアル寄りですが、紬ほどのカジュアル用途ではありません。
紬は生糸ではなく、屑糸を真綿状にし紡いでいく紬糸を使います。

将軍が愛したお召

徳川11代将軍家斉は、徳川歴代将軍の中でも非常に長生きをした将軍であり、歴代1位の将軍在位期間を誇ります。

その頃の江戸時代は平和で、家斉自体もさほど政治には関心を持ちませんでした。

家斉在職期間は『化政文化』と呼ばれる江戸文化の絶頂期であり、家斉自体もその文化を楽しみ結構な散財をしています。

さとし
家斉の散財が江戸幕府の力を弱めることになり、開国そして徳川幕府の崩壊に至るんですよね。

 

そんな家斉が愛し『お納戸色に白の細格子縞』という桐生産のお召を自身の御止め柄としました。

冒頭でも話した通り、家斉が着たことでお召と呼ばれるんですが、桐生産以外にも西陣、十日町、米沢などのお召も有名なんですよね。

お召のTPO

さとし
お召は生糸で作られ、将軍が着用したといういわれもあり、先染めの着物ですが無地系ならフォーマルでも着用できるとされています。

 

非常に着やすい社交着として、幅広く愛用され重宝されているのです。

現在のお召の柄は多岐に渡り、カジュアルテイストのものが主流ですが、そんなお召のTPOを知っておくといざというときに使えると思います。

男性着物としてのお召【着物男子必見】

男性着物としてのお召【着物男子必見】
着物好き男子
やっぱりお召といえば、男性の着物として憧れの存在ですよね。
着やすくかっこいいお召を、いつかは着てみたいんだよなぁ。

将軍が着ていたといういわれのままに、お召は男性着物としても広く愛用されています。

さとし
お召は色もシックなものが多く、柄も幾何学模様や縞模様が多いので、男性好みなんですよね。

 

それに合わせて長尺(反物の幅が広く、身体の大きい人でもサイズが出る)のお召もたくさん作られているのです。

さとし
生地も丈夫なので、本格的な男性着物を楽しみたいのならお召はオススメです。

【写真で楽しむ】お召ギャラリー

【写真で楽しむ】お召ギャラリー

ここではそんなお召の反物をいくつか紹介します。

お召とはどういう着物かイメージしていただけると思います。

お召①
さとし
格子柄のお召です。
シンプルな幾何学模様である格子柄は非常に使いやすいですよね。
お召②
さとし
角通しと呼ばれる柄のお召です。
男性着物としてもかっこよく着ることができそうなお召ですよね。
お召③
さとし
麻の葉柄のお召です。
大胆な印象の柄ですが、洒落感があってかっこいい着姿となるでしょう。
お召④
さとし
市松模様のお召です。
それぞれの色を変えることによって、深みのある市松模様に仕上げています。
お召⑤
さとし
小花の柄のお召です。
こういったシックですが優しい印象のお召もあります。
お召⑥
さとし
唐草柄のお召です。
陰影もあり、かっこよさの漂うお召になります。

まとめ

ということで、お召についての解説をしていきました。

着物には様々な種類がありますが、それぞれの特性があります。

それらを知ることで、着物はもっと楽しみやすくなりますし、選びやすくもなるのです。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y