着物の袖の長さに隠された意味とは？【3つの視点から解説】

着物の袖は特徴的な形をしています。

着物のように下に長い袖の形をしている衣類はめずらしいんですよね。
そしてそのことは、着物の悩みにもなっていたりします。
この記事では、その悩みの解決と着物の知識を深めてもらう試みです。

内容に入る前に少しだけ、自己紹介を…

私、さとし。
・着物の営業・販売の仕事を19年
・着物の店舗運営11年
・現在は独立し、着物の制作にたずさわっています。

この記事では、以下のことについて話します。

この記事を読むことで、袖についてバッチリ分かります。

着物をこれから作るときの参考にもなりますので、読み進めてみて下さい。

着物の袖の長さに隠された意味とは？【概要】

まずは、袖の長さ＝袖丈とは何か？ということです。

袖丈とは『着物の袖』の長さのことです。

写真の矢印の長さが袖丈です。

着物は洋服などと比べて『袖が長い』のが特徴なんですよね。

対して背中の中心から手首までの長さのことを『裄（ゆき）』と言います。

裄は着る人の体型に合わせます。

着物の形は『袖丈』以外はほとんど一緒

着物の形（着姿にした時）は、基本的には一緒ですが、見た目に変化があるとしたらこの袖丈になります。

一番わかりやすいのが振袖ですよね。

明らかに袖が長いわよね。
振袖という着物の種類の最大の特徴だわ。

そうなんですよね。
袖丈は着物の種類を決める要素にもなりますし、何よりも袖丈には『物語』があるんです！

そんな袖丈の物語に着目していきましょう。

着物の袖の長さに隠された意味とは？【袖丈と女性の人生】

袖丈は年代によって、『長さ』や『形』を変えたりします。

若い時に袖丈の長い着物を作ってもらったわ。

そこには、『色んな意味』があるんですよね。

『袖丈』の長さは若さの象徴

着物の袖の長さは『若さ』を表しています。

それが一番出ているのが振袖ね。

振袖の袖丈は、本振ともなると地面につくくらいの長さになります。

振袖の豪華さを表すとともに、やはり『若さと可愛さ』の象徴ですよね。

年代ごとに短くなる袖丈

着物の袖丈は振袖をピークに、短くなります。

基本的に、結婚を機に袖丈を短くします。

振袖が未婚の女性の正装であるのは、そういった意味なんですね。

既婚の女性の正装は、『袖を短く留めた留袖』になるのね。

正装以外の着物も、年代とともに袖丈を短くしていきます。

確かにそうするものだと教えられたわ。

【袖丈物語】母から娘への思いを込めた着物

ある60代の女性が、自分用に仕立てられた着物を多数持ってきました。

その着物を誂えたのは、その女性のお母様です。

見ると『袖丈』が着物によって違います。

その女性のお母様は娘の為に、『年代に応じた』着物を用意してるんですよね。

『年代ごとの用途』を思いはかって、そうしているんです。

それは、『言葉で表すことのできない母の思い』です。

その女性のお母様は亡くなられているので、真実を証明することはできません。
ただ、そんな『母の思い』を感じて着物を大事にするのもいいと思うんですよね。

【知っておくと失敗しない】袖丈の標準寸法

でも、年代ごとに袖丈を変えると、それに合わせた襦袢も必要になるのよね。

確かにそうなると今の時代は大変です。
そんな時に知っておくと困らないのが、袖丈の標準寸法です。

基本的に既製の着物（浴衣も含む）は、この寸法で販売されています。
さらに新しく着物を作り人も、特にこだわりが無ければこの寸法で着物を仕立てます。

着物は長襦袢の袖丈の長さが合わないと、着た時に違和感がでるので統一しているということです。

着物の袖丈に隠された意味とは？【袖に関する『ことわざ』】

袖丈に隠された意味をお話ししてきました。

そんな物語もある着物の袖には、まつわる言葉やことわざも多いんですよね。

ご紹介していきます。

【袖にまつわることわざ】袖振り合うも多生の縁

「道で袖が触れ合うようなちょっとしたことでも、前世からの因縁によるものである」という『ことわざ』なのじゃ。

『多生』とは、仏教の言葉で『何度も生まれ変わる』という意味になります。

人と人との『出会い』は何らかの必然で、大事にするべきという『教え』ですよね。

人間関係が希薄になっている現代人に刺さる言葉ですよね。

【袖にまつわることわざ】無い袖は振れない

これはお金の話で『無いものは無いから払えない』という意味じゃ。

着物の着物の袖には色んなものを入れることができます。

その一つが『財布』です。

だから、袖が無いとは『財布がない』ということで、お金が払えないと表してるんですよね。

着物の袖は両腕に『大きなポケット』ついている感覚です。

着物は『収納名人』なのよね。

そんな多機能な『着物の袖』、それが無いなら『あきらめてくれ』ということなんですよね。

【袖にまつわることわざ】戴くものは夏も小袖

『欲が深いこと』の例えなのじゃぞ。

小袖は本来夏には使用しません。

それでも戴くというのは「貰えるなら不要でもいい」という意味があるんですよね。

【袖にまつわることわざ】袖から火事

「小さいことが、大きなことに発展する」という意味で使われるのじゃ。

実際に江戸時代には『振袖火事』と呼ばれる大火事がありました。

確かに『着物の袖』って、いつの間にか汚れてて、大変なことになったりもするわ。

【袖にまつわることわざ】袖の下

いわゆる『賄賂（わいろ）』のことじゃ。

袖の下から「見つからないように渡す様」を表しています。

悪い人が、袖の下から何かを手渡すシーンを時代劇なんかでもみたりしますよね。

最後に

着物は多くの伝統を抱えています。

その伝統には意味があるんですよね。

そんな『意味』に触れながら着物を楽しむのも『着物の醍醐味』なんです。

では、よき『きもの』ライフを（＾＾）ｙ

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2023年11月25日

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