着物の種類〜江戸小紋の柄と用途〜【画像24枚でどこで着るか完全解説】

江戸小紋とは武士の裃の柄が発祥の着物で、型紙を使ってその柄を出します。

今では入門編の着物として幅広く愛用されていますが、奥が深い着物でもあります。
この記事は、そんな江戸小紋の奥深さを知ってもらう試みです。

内容に入る前に少しだけ、自己紹介を…

私、さとし。
・着物の営業・販売19年
・着物の店舗運営11年（店長歴）
・現在は独立して、着物の制作にたずさわっています。

この記事では、以下の内容を詳しく知ることができます。

これらを知ることで『江戸小紋』の選び方も同時にわかります。

読み進めて確認してみて下さい。

着物の種類〜江戸小紋の発祥と変化の歴史〜

まずは、江戸小紋の発祥について深掘りしていきます。

※裃を着用し、お殿様を待つ大名

武士の裃（かみしも）が発祥って言ってましたよね？
どういうことなんですか？

話は江戸時代にさかのぼります。
武家の正装には裃（かみしも）が用いられ、各大名はそれぞれ独自の裃を着用していました。

それぞれの大名は『模様付の裃』の豪華さを競っていたのですが、江戸時代が進むと幕府から規制が入ります。

贅沢は禁止裃も質素とすべし、とのことだったんですよね。

『派手にすると怒られる』ので遠くから見ると『無地』に見えるように模様を細かくしていきます。

そこまでして模様付の裃にこだわるっておしゃれなんですね。

大名の『見栄』だったんですよね。
ただ、そのことが『江戸小紋の技術』の発達につながるんです。

より遠目から無地に見えるよう、発注を受ける職人たちは自身の技術を向上させていきます。

そうやって職人たちが競い合っていたのね。
競い合うことで技術って発達するものね。

江戸時代（特に中期）は平和な時代で、今に伝わる文化が発達したんですよね。
江戸小紋もそうして確立され、今に繋がっているんです。

着物の種類〜江戸小紋の作り方と技法〜

江戸小紋ってどうやって作られるのかしら？

ここでは江戸小紋の作り方を『簡単に』説明します。
ポイントは『型紙作り』と『染色方法』です。

江戸小紋の基本工程『型紙作り』

まずは江戸小紋は『型紙』を使い染めています。

型紙には『伊勢型紙』が使われます。

その伊勢型紙に柄を掘り抜いて型紙を作ります。

『伊勢型紙』の彫刻技法には、『錐（きり）彫り』『突（つき）彫り』『道具彫り』『縞彫り』があります。

あんな細かい柄を、規則正しく彫っていくって、すごい『熟練の技』と『忍耐力』ね。

江戸小紋の基本工程『染色』

続いては型紙を使った江戸小紋の『染め方』です。

木の板に生地を張り型紙を置き、型紙の上から糊（のり）を置きます。

糊付けは、大きさや向きによって微妙な按配があり、高度な技術を要します。

型紙の大きさは約30センチで、約13メートルの反物では、40〜50回くらい型紙をずらしながら糊を置いていきます。

うわ〜…
すごく大変そうですね。

柄が少しでもズレると、ダメなんですよね。
江戸小紋の職人の中では『型付三年、糊八年、ヘラ九年でなりかねる』という言葉があります。
一人前になるには20年以上かかるんですよね。

糊が置けたら『地染め』をし、着物を蒸して色を定着させます。

そうして染めムラがないか確かめ、あれば直して完成です。

着物の種類〜江戸小紋のTPOと三役〜

江戸小紋ってどんなところで着る着物なんですか？

江戸小紋には柄によって『格』があります。
これがTPOになります。

江戸小紋の中でも『定め小紋』『留め柄』と呼ばれるものは幕府によって定められたそれぞれの大名の裃の柄です。

これらは『格』が高いとされ、フォーマル用途でも着れる江戸小紋となります。

その中でも江戸小紋三役・五役の柄が有名です。
以下にまとめます。

対して『いわれ小紋』は庶民が生活にまつわるものを柄にしています。

実に様々な柄があり、カジュアル用途に使います。

江戸小紋は帯次第でフォーマルもカジュアルもOK

江戸小紋の格を解説してきましたが、無地感覚の江戸小紋は、帯次第で着る場面を変えることができるんですよね。

そう！
だから江戸小紋は重宝すると教えられたわ

下の画像をご覧下さい。

鮫柄の江戸小紋に金ベースの袋帯をコーディネートしました。
これで式ごとに出るコーディネートです。

同じ鮫柄の江戸小紋に名古屋帯をコーディネートしました。
これならカジュアル全般に着ることができます。

同じ江戸小紋でも帯で雰囲気と着る場面を変えれるってことね。
便利だわ。

着物の種類〜江戸小紋〜【画像によるギャラリー】

ここからは江戸小紋の様々な柄のギャラリーになります。

楽しみだわ！

定め小紋・留め柄【フォーマルにも最適な江戸小紋】

『定め小紋』『留め柄』は説明した通り、幕府が定めた大名の裃（かみしも）の柄です。

鮫（さめ）【江戸小紋の柄】

鮫の皮のような半円形を重ねた文様で、江戸小紋の代表的な柄です。

江戸小紋の中でも一番有名な柄ね。

まずはこの鮫柄の江戸小紋から始めろって、お教室で教わったわ。

角通し（かくとおし）【江戸小紋の柄】

正方形が規則正しく並んだシンプルで美しい柄です。

行儀（ぎょうぎ）【江戸小紋の柄】

『角通し』と似ていますが、配置が違います。

御召し十（おめしじゅう）【江戸小紋の柄】

『十』と『点』が交互に並んでいます。

菊菱（きくびし）【江戸小紋の柄】

お花の菊を菱形で表し、規則正しく並んでいます。

大小あられ（だいしょうあられ）【江戸小紋の柄】

気骨ある薩摩藩士の生き様を表したような柄です。

梅ばち（うめばち）【江戸小紋の柄】

細川家の家紋となっている梅鉢を、江戸小紋の柄としています。

万筋（まんすじ）【江戸小紋の柄】

その筋が細ければ細いほど格が高いとされる、庶民にも親しまれた江戸小紋の柄です。

いわれ小紋【カジュアルで遊び心のある】

『いわれ小紋』は人々の生活の中にあるものを柄にしています。

よく見たら、なるほどと思うものばかりで楽しいのよね。

大根とおろし金【江戸小紋の柄】

これは大根と、おろし金の柄です。

これで『大根おろし』を作るのね。

思わず焼き魚が食べたくなる柄です。

蓑亀（みのがめ）【江戸小紋の柄】

これは『蓑亀（みのがめ）』といって、甲羅に苔の生えた亀です。

『亀は万年』と言葉があるように、亀は縁起のいい柄です。
苔が生えるほどの亀はさらに『長生き』の象徴なんですよね。

七転八起（ななころびやおき）【江戸小紋の柄】

これは、文字が柄になっています。

よく見てるとわかる。
面白ですね。

【特集】色んな江戸小紋を集めてみました。

江戸小紋には一つの柄ではなく、たくさんの江戸小紋の型を使ってできているものもあります。
そんな江戸小紋を特集していきます。

まとめ

江戸小紋って楽しいのね。

そう！
しかも用途が広く、コーディネートの幅も広いので着物の初心者でも安心して使えるんですよね。

是非、あなたもそんな江戸小紋の魅力に触れてみて下さい。

では、よき『きもの』ライフを（＾＾）y

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2023年11月24日

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