【簡単に写真で解説】着物の種類の違いがわからない場合はこれを見よ!

着物の悩み
●家にある着物の種類がわからない
●着物欲しいけど、どの種類の着物を揃えればいいの?
●紬ってどういう着物なの?

着物の種類って、難しいですよね。

さとし
着物の種類がわからないと、どこで着たらいいのかもわかりません
これが原因で、『着物は着ない』という結末を迎えることもあります。
この記事は、簡単に着物の種類をわかってもらう試みになります。

 

内容に入る前に、少しだけ私の自己紹介を…

さとし
私、さとし。
・着物の営業・販売を19年しています。
・着物の店舗運営(店長歴)11年
・現在は独立し、着物の制作にたずさわりながら、全国各地で着物の提案活動をしております。

 

この記事では以下の3点を、詳しく掘り下げて解説します。

・着物の種類別の簡単な見分け方
これが分かれば、『着物の種類がわからない』は解決です。
・紬とは何か?『基本概念』と見分け方
・着物の袷と単衣の違いと見分け方

 

分かりやすいように写真をおり混ぜて解説していきます。

パッと見ただけで着物の種類がわかるようになります。

【簡単に写真で解説】着物の種類がわからない場合はこれを見よ!

着物の種類がわからない場合はこれを見よ

黒紋付(喪服)を起点に、柄の付き方での着物の見分け方を解説していきます。

黒紋付(喪服)と黒留袖の違いを簡単に解説

黒紋付
さとし
上の写真が黒紋付(喪服)です。
全体的に真っ黒で、5つの紋が上半身に入っています
黒紋付(喪服)とは…
最上格の着物、主な用途は不祝儀(お葬式・お通夜など)
着物好き女子
これは分かりやすいわね。

 

留袖
さとし
上の写真が黒留袖です。
裾(下半身)だけに柄があり、柄は縫い目を渡って繋がります(絵羽模様)
上半身には5つの紋が入っています
黒留袖とは…
最礼装の着物、主な着用用途は結婚式
新郎新婦の母親が着ることが多い。
黒紋付(喪服)と黒留袖の違い

黒留袖と色留袖の違いを簡単に解説

着物好き女子
黒留袖と色留袖は同じ留袖だけど、何が違うの?
色留袖
着物仙人
留袖の『黒以外』が色留袖じゃ!
様々な色があるぞ。
色留袖とは…
黒留袖より一格下がる礼装の着物
フォーマル色の強い場面で着用する。
黒留袖と色留袖の違い

 

さとし
黒留袖と色留袖は違いはありますが、用途はあまり変わりません
次に出てくる訪問着もあるので、色留袖の使用頻度は低いと言えます。

訪問着と留袖の違いを簡単に解説

訪問着
さとし
この写真が訪問着です。
訪問着の特徴は上半身にも柄があり、縫い目を渡って柄が繋がる『絵羽模様』だということです。
訪問着とは…
準礼装の着物
幅広いフォーマルの場面で着用する。
着物好き女子
留袖の絵羽模様だったけど、上半身には柄はなかったわね。
留袖と訪問着の違い

 

着物好き女子
柄の分量が少ないのが格の高い留袖って、不思議な感覚だけどそうなのよね。
色留袖と訪問着の違い
色留袖は色んな色があり、訪問着との違いはやや難しいです。

振袖とその他の着物との違いを簡単に解説

振袖
着物好き女子
これは簡単!
振袖は袖が長いわ!
さとし
そうですね。
詳しく言うと『訪問着と同じ柄付けで袖が長い』です。
振袖とは…
未婚の女性の第一礼装
成人式を始めとした、フォーマルな場面で着用する。

 

着物好き女子
でも袖が長いって、どれくらいの袖の長さを振袖って言うの?

振袖の袖の長さは以下の3つに分類されます。

・小振袖=約85センチ
・中振袖=約95センチ
・大振袖=約110センチ
さとし
通常の着物では、標準とされる袖の長さは約50センチです。
振袖以外の着物でも、袖を標準以上にすることがありますが、小振袖くらいまで長くなることはありません。
訪問着と小振袖の袖の長さ

小紋と訪問着の違いを簡単に解説

小紋
さとし
これが小紋です。
柄が全体的にあります。
着物仙人
留袖や訪問着と違い、柄が縫い目を渡って繋がっていないのじゃ。
小紋とは…
カジュアル用途の着物
カジュアル全般が着用用途ですが、後述する紬と比べると『よそ行き感』がある。

 

【難解】訪問着と付下の違いがどうしてもわからない

着物好き女子
後、付下という種類もありますよね。
付下と訪問着の違いってよくわからないんですよね。
さとし
そうなんです。
付下と訪問着の違いは非常に難解です。
現代において両者の明確な違いはないとも言えます
着物好き女子
どういうこと?

 

まずはこれを見てください。

さとし
これが付下です。
特徴としては、柄が上向きに付けられ、縫い目を渡って柄が繋がっていません
訪問着と
訪問着と付下の違い
着物好き女子
これは分かりやすですね。

 

さとし
ただこれで済まないのが付下で、中には柄が縫い目を渡っている付下もあります。
着物好き女子
??
付下と訪問着の違い

上の写真のような両者の違いは、柄の分量でしか判断できません。

さとし
訪問着の特徴を持つ付下が存在し、今は主流だったりするんですよね。
着物好き女子
なんか微妙なんですね。

 

さとし
ただ、付下も訪問着も着ていく場面は違いませんので、あまり深く考えないでもいいのかもしれませんね。
着物のルールの世界では、訪問着の方が付下より『一格高い』とされています。

紬の違いがわからない場合はこれを見よ!

紬って何かわからない場合はこれを見よ
着物好き女子
ってたくさん種類があるわよね。
その違いがよくわからないのよね。
さとし
確かに紬は多くの種類があり、それぞれの特徴があります。
まずは紬を理解するのに一般的な特徴を説明します。

紬の基本項目【先染めである】

留袖や訪問着など、これまで説明してきた着物は『後染めの着物』と言います。

着物好き女子
後染めの着物って?
さとし
白生地を用意して、そこに染めたり柄を描いたりしている着物です。

 

対して紬は糸を先に染める『先染め』で、その糸を織ることで柄にします

さとし
これが紬の一般的な特徴ですね。

【補足】後染めの紬もある

さとし
紬の生地を作り、染めを加えるやり方で作る着物(これも基本的には紬)もあるんですよね。

その場合の柄の出し方は、通常の『後染めの着物』と一緒になります。

着物仙人
すなわち『紬の訪問着』や『小紋柄の紬』というものがあるのじゃ。

 

写真は紬の生地に染めの柄を描いた着物

紬の基本項目【素材の風合いが違う】

着物を作るには生糸を使います。

生糸は蚕の繭から作り出しますが、生糸を作る過程で使えない繭やその一部が出てきます。

さとし
そうしたものを『クズ糸』と呼び、集めて煮立て真綿状にし、そこから糸を紡ぎ出すというやり方で作られるのが紬糸です。

 

なので紬はその風合いが、生糸で作られた着物とは違うものになります。

着物好きマダム
糸の形や太さなどがいびつなので、独特のざっくりとした風合いになるのよね。

 

さとし
ただ、今の紬には生糸で作られているものもあります。
その代表格が次の紬ですね。

大島紬は生糸で作られる

紬の中でも有名な『大島紬』は、紬糸ではなく生糸で作られます。

さとし
大島紬は生糸で作られているので、他の紬と違いツルっとした特徴になります。
着物好きマダム
他の紬と見分ける一つのポイントね。

紬の基本項目【全国各地に産地がある】

紬糸の特性上、紬は絹糸や生地の産地での副産物として全国で作られてきました。

着物好き男子
そうか!
余分な糸が出る環境って、やっぱり糸や生地の産地ですもんね。

 

そんな地域の紬は、伝統工芸品としてブランド化されているのです。

さとし
有名なものでは、奄美大島の大島紬や茨城県結城地方の結城紬、石川県の牛首紬などがあります。

 

紬は地域の伝承と風土を受け継ぎ、進化しているのです。

写真は結城紬

 

コチラの写真は牛首紬

 

着物の袷と単衣の違いがわからない場合はこれを見よ!

着物の袷と単衣の違いがわからない場合はこれを見よ!

まずは袷(あわせ)と単衣(ひとえ)とは何か、です。


→裏地をつけて仕立てられた着物

単衣
→裏地をつけずに仕立てられた着物

 

さとし
この裏地のあるなしの違いを、着姿で判断するポイントは2つあります。

【袷と単衣の違い】袖口から裏地が見える

袷の袖口
さとし
コチラが袷の袖口、八掛という裏地が見えます。

 

単衣の袖口
さとし
コチラは単衣の袖口、八掛がついてないので、裏地は見えないですよね。
着物好き女子
言われたらわかるけど、微妙な差ですよね。

【袷と単衣の違い】裾から裏地が見える

袷と単衣の違い『前の裾』
さとし
コチラが前から見た裾です。
裏地のあるなしがわかります。
着物好き女子
ほんの少しだけ、裏地が見えるわね。
袷と単衣の違い【後の裾】
さとし
コチラが後ろから見たそれぞれの裾です。
裏地のあるなしがわかります。。
着物好き女子
後ろから見た方がわかりやすいわね。
でも、やっぱり微妙な差なのよね。

まとめ

☆着物の柄付けによる種類の見分け方☆
✔︎『黒紋付(喪服)』→全体が黒一色で、上半身に5つの家紋
✔︎『黒留袖』→全体が黒で、裾に絵羽模様、上半身に5つの家紋
✔︎『色留袖』→黒以外の留袖
✔︎『訪問着』→裾柄だけでなく、上半身も絵羽模様
✔︎『振袖』→袖の長さが特徴
✔︎『小紋』→全体柄で、絵羽模様ではない
✔︎『付下』→本来なら縫い目を柄が渡らないが、そうとは限らなくなった
✔︎『紬』→先染めの紬糸を使っている(産地によってはその限りではない)
✔︎袷と単衣は裏地のあるなしだが、見た目の違いは微妙

 

ということで、着物の種類の見分け方をお話ししました。

さとし
ただ、着物の種類は増えている傾向にあります。
これには『着物の商売』が関わっているんですよね。

いわゆる『アイテム』が増える、という現象です。

着物好きマダム
アイテムが増えると、揃える(売る)理由ができるってことね。

 

なので、着物の種類の『わかりづらさ』は今後も大きくなります。

さとし
ある程度のルールさえ押さえたら、『着物は自由に楽しめばいい』というのが私の考えです。
着物を愛好する人もそのわかりづらさの中で、少しずつその方向に向かっています。

これが着物の種類を考える上での、前提となることなのかもしれません。

 

では、よき『きもの』ライフを(^^)y